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ヤシマキザイがJR東に保線機械を納入、常磐線で運用

ヤシマキザイは、保線機械のマルチプルタイタンパー(MTT)を初納入する。スイス・マティサが開発した日本市場向け機種「B56C」初号機を月末、JR東日本グループのユニオン建設(東京都目黒区)に引き渡す。4月から福島県の常磐線で保線作業に運用する見通し。2020年度内に2号機と3号機も納める。MTTの納入をきっかけに、鉄道保線分野での提案を本格化し、事業領域の拡大につなげたい考え。

B56Cは軌道管理高度化で求められるデジタル化、状態基準保全(CBM)に対応した最新鋭の装置を備え、防音や排ガス抑制など環境にも配慮した。従来より少ない人数での作業が可能で生産性が高い。軌間や軸重、車両長といったJR在来線特有の制限に合わせて仕様を決めた。

MTTは、かつて人手で行っていた軌道の歪みを直す深夜の保線作業を機械化。ディーゼルエンジンで軌道上を自走する。車両中央に取り付けられた各種ツールを駆使して、レールを持ち上げ、砂利を突き固める工程などを連続して行う。車両先頭と後方には検測装置を搭載し、データを照合しながら進める。

MTTはJRや公民鉄各社がパートナー企業などを通じて、各所で運用しており、12―15年で更新周期を迎えるという。

国内市場はオーストリアのプラッサー&トイラーが9割超のシェアを占め、マティサは戦略機種の投入でシェア拡大を狙う。

ヤシマキザイは鉄道車両の機械、電気部品や電力設備などを扱う専門商社。保線や軌道領域への事業領域拡大を見据え、商材の探索を進めてきた。マティサとは12年にJR向け代理店契約を締結し、戦略機の開発にも市場ニーズのフィードバックなどで関与した。

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