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東証「アローヘッド」処理能力2倍に!アベノミクスも第2ステージに入ったが・・

1日の最大注文件数は1億3700万件から2億7000万件に。発注取り消し機能も強化
 東京証券取引所は24日、株式売買システム「アローヘッド」をリニューアルした。株の超高速取引が台頭し、注文件数の増加や短時間での注文集中傾向が強まっているため。1日の最大注文件数を刷新前の約2倍に向上し、注文受付時間も半分以下に短縮。そのほかシステム異常に対応する機能も強化、信頼性と利便性を大幅に向上している。

 株式売買市場では、注文件数が継続して増加している。2011年は1日当たり1000万件前後で、東日本大震災発生直後の3月16日でも2208万件だったが、アベノミクススタート後は取引件数が増加。最近1日当たり2000万―3000万件の取引が行われ、日銀が追加金融緩和を行った14年11月14日は5490万件に達した。

 これらの注文増に対応するため処理能力を増強。1日の最大注文件数は1億3700万件から2億7000万件に、注文受け付けレスポンスは1000マイクロ秒(マイクロは100万分の1)から500マイクロ秒未満に短縮。秒間処理件数も従来の3万―4万件から、5万件以上に拡大した。
 
 また、取引の高速化による不足の事態に対応するため、リスク管理機能も強化した。証券会社と取引所システムとの接続に異常が起き突然切断された場合、注文の自動取り消しが可能。アルゴリズムの誤作動により不足の注文発注が行われた場合、すでに発注された取引を取引所システム側で自動的に取り消せる「キルスイッチ」機能も搭載した。
日刊工業新聞2015年09月25日 金融面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
約5年ぶりの刷新。システム開発は富士通が担当している。初代アローヘッド稼働後、全面停止は一度もない。海外の取引所に比べても安定稼働という面では相当な水準。世界の取引システムは処理スピードだけでなく安定性や信頼性を重視し始めている。 ちょうどアベノミクス「新3本の矢」が発表されたばかり。失望から株価下落サイクルに入らなければいいが・・

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