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いま「朝食」が熱い!

食品各社、健康志向で急成長、食品・外食存在感競う
いま「朝食」が熱い!

「ケロッグ飲む朝食」をアピールするサントリー食品の北川執行役員(左)

 サントリー食品インターナショナルが、チルドカップ容器入りの「ケロッグ飲む朝食フルーツグラノラ」を、1都10県のコンビニエンスストアで発売した。狙う顧客層は20―30代の若者で、消費税込みの価格は200円弱。“朝食市場”に目を付けた商品では宝酒造が1991年に発売した「飲む朝食・朝CAN」をはじめ、ハウス食品の「めざめるカラダ朝カレー」、アサヒ飲料の「WONDAモーニングショット」などがある。朝食市場が活性化するのか取材した。

 【欠乏4人に1人】
 サントリー食品のケロッグ飲む朝食は、米国のケロッグから製品情報提供を受け、サントリーが独自に開発。1本200グラムで食パン1枚分のエネルギー、レタス1・5個分の食物繊維、牛乳1杯分のカルシウムが摂れる。同社の北川廣一執行役員は「共働き増加で20―30代の3、4人に1人が朝食欠乏となる一方、健康志向で朝食は重要だと考える割合も増えている」と分析。シリアル食品はこうしたニーズをとらえ、急成長している」と商品開発の背景を説明する。サントリーと組んだ日本ケロッグの大谷弘子マーケティング本部長は「シリアルは米飯、パンに次ぐ第3の朝食として成長しつつある」と手応えを話す。

 【売り上げ拡大】
 同製品の年内販売目標は150万ケース(1ケースは12本換算)、2年目には200万ケースに伸ばしたい考えだ。コンビニで置かれる想定場所はチルドカップコーヒーか、機能系のドリンクヨーグルトが置かれるコーナー。チルドカップの商品なので自動販売機での販売はできない。機能系ヨーグルトやエナジードリンクに近い部分があるが、その中で存在感をどれだけ出せるかが焦点になる。
 朝食市場を狙った商品のパイオニア、宝酒造の「朝CAN」は原料に牛乳を50%、バナナを10%使用し、消費税込みの価格は約200円、1本で1日必要量のビタミン類の3分の1が摂れるなど、コンセプトはかなり近い。現在は宝ホールディングスの酒類集中戦略により、販売されていない。ハウス食品の「朝カレー」はレトルトだが電子レンジで加熱せずそのまま食べられる。「朝食市場に着目したというより、カレー市場の拡大で朝食に目を付けたのが背景だった」(ハウス食品グループ本社)という。アサヒ飲料のWONDAモーニングショットも缶コーヒー市場の拡大を背景に、目覚めの時間にふさわしいキリッとした苦味が特徴としてリニューアルを重ね、売り上げを伸ばしている。

 【広がる新市場】
 外食企業でも牛丼チェーンやハンバーガーチェーンなどは、朝食メニューに力を入れている。共働き世帯や単身世帯の増加で、忙しくて朝はパンとヨーグルトで間に合わせる人が増えている。米飯、みそ汁、納豆など伝統的朝食の栄養的なメリットが言われつつも、仕事がある現代人は調理になかなか時間が取れないのが実情だ。時短ニーズと健康ニーズがともに高まる中、朝食ドリンクに野菜サラダ、スムージーなどを組み合わせた新市場に育つ可能性もある。
日刊工業新聞2015年04月10日 建設・エネルギー・生活面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
グラノーラ、スムージー、パンケーキ、エッグベネディクト・・・近年、海外の「おしゃれ朝食」が競って日本進出。国内企業も朝食に大注目で、朝食市場が活性化。 「朝活」などの言葉もだいぶ定着し、朝ビジネスの盛り上がりは続きそうです。

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