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インダストリー4.0の標準化、具体案が徐々に明らかに

ベッコフオートメーション日本法人、川野俊充社長インタビュー
インダストリー4.0の標準化、具体案が徐々に明らかに

川野氏

 製造業を変える第4次産業革命として、ドイツ政府が推進する戦略的施策「インダストリー4・0(I4・0)」。4月には今後の取り組み内容を示す実践戦略が発表され、その姿が明らかになりつつある。独ベッコフオートメーションは、工場自動化(FA)用制御機器などを手がけるI4・0の参画企業。同社日本法人社長で現地の動きに精通する川野俊充氏に、I4・0、そしてFA業界の展望を聞いた。

 ―I4・0の実践戦略が提示されました。
 「ハイライトはI4・0を構成する現場の装置を標準的に認識するための道筋が示されたこと。ロボットや工作機械など装置ごとに管理シェルを割り当て、I4・0仕様の通信規格やデータ形式に対応させる仕組みだ。この構想が実現すれば、あらゆるメーカーの装置を統合業務パッケージ(ERP)や製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウエアなど、上位系のシステムと円滑につなげられるようになる」

 ―管理シェルはどのような形で提供されるのでしょうか。
 「オフィス用プリンターのドライバーのようなもの。ソフト、ソフト開発キット、拡張ボードなど、さまざまな形式が想定される。導入しやすい方法をユーザーが選択する形になるだろう」

 ―FA業界はどう変わるのでしょう。
 「つなげて使うために特定メーカーのFA製品でそろえる必要がなくなる。これにより競争原理が変わる可能性は大きい。最も死角が少ないのは、I4・0のようなオープン化の流れを積極的に採用・推進し、既に高いシェアを獲得している大企業だ。また、同じくオープン戦略を採る中堅・中小企業にとっても、大手にステップアップするチャンスになる」

 ―その他の企業への影響は。
 「守りの経営を続ける企業は負け組になる恐れがある。中堅・中小ならば一挙に方針を切り替えることも可能だ。だが、クローズ戦略の大企業はそれも難しいため、悩ましいところだろう」

 【記者の目/迫られる重大な経営判断】
 実践戦略では、重要項目ごとに整理された研究ロードマップも、あらためて明示されている。おぼろげだったI4・0の実体が、少しずつ見え始めている印象だ。情報通信技術により新たな製造業革新を起こそうという取り組みは、米国、フランス、中国などでも始まり、同時多発的な動きになりつつある。川野氏が指摘するように、FA分野における競争原理の変革は必然の流れかもしれない。業界内外で、多くの企業が重大な経営判断を迫られている。
(聞き手=藤崎竜介)

日刊工業新聞2015年09月18日機械面
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
川野社長、コメントどうもありがとうございました。今、気づきました。遅くなりましてすみません。 現在また記事を連載しており、その中でもご登場いただいております。 今後もFA担当記者の藤崎共々、どうぞよろしくお願いいたします!

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