米ミシガンを筆頭に世界で自動運転プロジェクトが動き出した!

自動運転は日本の地方都市にもメリット

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エム・シティに日系自動車メーカー3社も参加
 世界各国で大規模な自動運転実験プロジェクトが動き始めた。実験専用に町をつくった米ミシガン大学のプロジェクトには日本の車大手3社も参加している。自動運転車が実現すれば関連サービスも生まれるため、自動運転の創出する市場は巨大だ。実証実験は技術の進展をサポートするだけでなく、各国が自国に産業を呼び込む狙いもある。日本は国内自動車メーカーの世界展開を支え、国際協調に力を入れる。

 【さながら映画のセット】
 7月にオープンしたミシガン大学の実験施設「Mcity(エム・シティ)」はさながら映画のセットだ。約13万平方メートルの敷地に、建物は絵に描いたセットだが、さまざまな形状の道路や信号、標識、街路樹、さらにはロボットの歩行者や犬もおり、突然道路に飛び出すこともある。自動運転は市街地が一番難しい。自動車メーカーらは市街地に近いエム・シティで実験できるというわけだ。

 同施設を担当するU―Mモビリティ・トランスフォーメーション・センター副所長のフェイ・ペン教授は8月に来日した会合の場で、「テクノロジーは現実社会の問題を解決しなければ成功ではない」と実用化への意気込みを語った。エム・シティには無線通信など、大学の技術・ノウハウも導入し、まだ本当の市街地にはない新技術も試せる。エム・シティ周辺の公道も利用できる。

 【自動車メーカーのない国でも】
 エム・シティのスポンサーには、トヨタ自動車と日産自動車、ホンダを含むメーカー12社が名を連ねる。ミシガン州はデトロイトを擁し、米国自動車産業の中心だが、海外勢の参加も多い。ITSジャパンの天野肇専務理事は「ミシガンはかつて米国自動車産業が弱った後、新しい自動車技術で復活を図ってきた。これに積極的に取り組んだのが日本を含む海外の企業」と説明する。

 ミシガンのほかに米国では運輸省の自動運転システム開発計画がある。欧州では欧州連合(EU)の技術革新プログラム「Horizon2020」で自動運転の課題解決に取り組む。欧州には国別の取り組みもあり、ドイツ以外でも実験が活発になってきた。スウェーデンでは2017年に一般ドライバーが100台の自動運転車を運転し、混在交通環境での実証実験が始まる。
 
 興味深いのは、有力な自動車メーカーのない国も独自のプロジェクトを立ち上げているところだ。英国は4都市での公道実験開始に向け、9月末まで実施主体を公募中。予算は約2000万ポンド(約37億円)をかける。オランダは、車車・路車協調システムを構築し、渋滞や事故、使用エネルギーの低減を狙う。さらに安全性を検証し、型式認定の制度化を検討する。

 【日本の存在感を示すチャンス】
 「国によって事情はさまざまで、研究機関の育成や他国企業の誘致、自動運転での存在感を高めるなど狙いも違ってくると」天野専務理事。各国でプロジェクトが進む中、「日本では国際協調をしっかりやっていく」と話す。日本には世界で事業を展開する自動車メーカーが複数あるため、ビジネスチャンスを狙い、多くのサプライヤーが進出。高度な運転支援システムから必要とされる3次元地図でリードする独ヒアとも協力関係にある。

 また昨年から日本主体で欧米やアジアのプロジェクト関係者らを招き、自動運転の国際会議を開催。今年は東京モーターショー直前の10月27―29日に実施する。天野専務理事は「昨年度以上の規模でやっていく」と、日本の存在感を示していきたい考えだ。
(文=梶原洵子)

日刊工業新聞2015年09月23日 自動車・航空機・機械・ロボット面

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田鹿倫基
日南市
マーケティング専門官

 日本の地方都市にとって自動運転の実現は大きく3つのメリットがある。 一つ目は、一次産品の輸送のコストが軽減できることで価格競争力がつくこと。 二つ目は、ネットで買物をするときの配送料が安くなるため、地方都市でも買い 物の利便性が上がること。 最後に、いわゆる買い物難民の方へのフォローだ。この買い物難民はスーパーから自宅に商品を届けるのではなく、家からスーパーへに自動運転で乗車してもらうこと大事だ。買い物弱者の方でも「自分が買いたいものを選ぶ」という買い物の楽しさを自動 運転によって味わえるからだ。

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