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ボッシュが高機能センサー「LiDAR」事業に参入、低価格が競争軸に

ボッシュが高機能センサー「LiDAR」事業に参入、低価格が競争軸に

ライダーの開発を始めるボッシュ(センシングのイメージ、提供)

独ボッシュが高機能センサー「LiDAR(ライダー)」事業に参入する。2020年に欧州拠点で研究開発を進め、製品化に向けて生産体制を整える。他のセンサーと組み合わせることで冗長性を高めるほか、量産規模を生かし低価格で供給する計画だ。自動運転に必須となるライダーは開発競争が繰り広げられているが、自動車部品メーカー世界最大手のボッシュの参入で競争は一層激化しそうだ。(渡辺光太)

「センサーを相互に補完させることで、自動運転の実現性を高める」。ハラルド・クローガー取締役はライダー事業の参入に伴い、こうコメントした。これまでボッシュは車載カメラと、電波や音波を基に対象物を検知するレーダーを中心に自動運転のセンシングを強化してきた。だが、市街地などの走行環境や自動運転レベル3―5への対応などを調査した結果、安全性を担保するためにはライダーも加えた3種類のセンシングが必要と判断した。

ライダーはレーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返るまでに要した時間を計測し、車両との距離を測定する。解像度が高く、検知距離が長く、視野角も広い。離れた距離にある物体を確実に検知できるという。一方で光検出器やレーザーなどの構成部品が複雑なため、全体の耐久性や搭載コストが課題だ。価格は数万―10万ドル(数百万―1100万円)が多いとされ、自動運転車両が高価格化してしまう一因となっている。

そのため、低価格化が競争軸となっている。米グーグルの実験車両で納入実績がある、業界大手の米ベロダインは100ドルでの販売を目標とする。同ルミナーは19年に500ドルの製品を投入した。

低価格化に向けて機構を見直す動きもある。ベルギーのゼノマティクスは可動部分と回転機構を減らすことで、コストの抑制を図った。パイオニアは微小電気機械システム(MEMS)方式を採用することで構成部品を集積化したライダーを20年度上期にも発売する。

ボッシュの価格は未定だが、量産効果により価格は抑えられる算段だという。自動車部品の巨人がどのようなライダーを投入して猛追をしかけるか注目される。

日刊工業新聞2月25日

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