総合スーパー不振「不採算店放置と中央集権」が原因!?

地方分権が収益改善のカギに。中四国・九州が地盤のイズミはモデルケースか

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ヨーカ堂は不採算店閉鎖で収益改善を急ぐ
 セブン&アイ・ホールディングス傘下の総合スーパー(GMS)、イトーヨーカ堂は2020年まで全国181店の約2割にあたる40店を閉鎖する方針を固めた。GMSを展開する大手小売業ではファミリーマートと経営統合協議を続けるユニーグループ・ホールディングスがGMS50店の閉鎖を検討するなどリストラが相次ぐ。GMSはネット通販や有力専門店が拡大する中、転機を迎えている。役割を終えたのか、それとも構造改革で活性化できるのか、真価が問われている。

 ヨーカ堂の2015年2月期の営業利益は前期比約83%減の18億円。最大のGMS店舗数を持つイオン傘下のイオンリテールも同9割減の25億円だった。ユニーは104億円の利益を計上したが、店舗の減損が響きユニーGHDは当期赤字となった。売上高営業利益率は1%程度、または1%にも満たない。

 大手小売業のGMS不振の原因は明確だ。衣食住を扱うGMSが衣料品店「ユニクロ」や家電量販店などの専門店、また台頭してきたネット通販にシェアを奪われてきたこともある。しかし、根本原因は立地変化への対応の遅れと「本部の過度の権限集中というチェーンストア理論の呪縛」(ある大手スーパーの幹部)にある。

 「10年もすれば商圏も立地も変わる」(岡田元也イオン社長)なかで、店舗のスクラップアンドビルドが進まず放置されてきたり、それ以前に、大手スーパーは本部が強大な権限を保有し店舗は“従”という構造を連綿と続けてきたからだ。

イズミが営業利益率5%を超える理由


 「地方店舗の商圏のこまかい商品の動向が、東京から分かるはずがない」と、ある地方の有力スーパーは話す。モノ不足の時代は中央集権型組織が有効に機能した。だが、モノあまりの現在、売り場の少しの取りこぼしが店舗全体の命取りになる。

 「総合の強みがなくなったわけではない」と、ある大手スーパーの幹部は指摘する。このためGMS各社は中央集権型を改革しようと今年から地域に大胆に権限を委譲。仕入れや商品開発、採用まで地域のカンパニーや、店舗に落とし込む改革に乗り出し、経営のカジを思いきり切った。

 中四国・九州を地盤とするイズミはGMSが店舗の約6割を占め、GMSは中心事業。だが、16年2月期の営業利益は333億円で、売上高営業利益率は5%超を予想する。イズミは勢力範囲を広げず中四国・九州を地盤とし、独自に運営できないカテゴリーは思い切って捨ててテナントに任せるなどし、地域に合わせた商品政策を続けてきた。こうして高収益体質を築いてきた。

 大手スーパーは店舗の大量閉鎖と地域への権限委譲でGMSの活路を見いだせるのか。ネット通販など、みえない敵との競争も激化する中、改革は時間との競争でもある。

日刊工業新聞2015年09月21日 3面

COMMENT

総合スーパーの収益低迷は不採算店の対策が遅れたことが原因です。あるスーパーの幹部から「競合が増え、立地条件が変わっても売り上げが上がっているからとなかなか閉められない店舗が結構ある」と聞いたことがあります。簡単に閉められないのは初期投資が年々大きくなって、回収までに時間がかかるようになっていることもあるでしょう。しかしそれ以前にやはり消費動向が変わっているのに、店舗が対応できていなかったことが最大の原因といわれます。それを改革しようと大手各社は〝地方分権化〟を始めています。その動向いかんが今後のGMS各社の収益改善のカギを握っています。

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