【連載】よくわかるCOP21(3)

自ら削減目標を設定、「すべての国が参加」へ道筋

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各国が提出した目標
**COP21で合意する新しい枠組み(ポスト京都議定書)のポイント
●すべての国が参加
 (京都議定書では先進国のみ削減義務を負った。新枠組みではすべての国が20年以降の温室効果ガス排出削減目標を条約事務局に提出する)

●自主目標方式
 (京都議定書は排出削減義務を負った国に削減量を割り当てるトップダウン型だった)

●期間、基準年は自由
 (京都議定書の約束期間は08-12年、比較する基準年は「90年比」だった)

●野心的な目標であること。その理由を公表する

●適応策を検討
 (海面上昇、高潮、干ばつ・熱波、豪雨など気候変動が原因と思われる自然災害から人命・財産・インフラを守る「備え」が適応策。すでに気候変動が進行していると考えられる災害が起きていることから適応策の緊急度が増している)

 もう一点、京都議定書との大きな違いがある。京都議定書は先進国に削減量を割り当てる方式だったが、新枠組みは削減目標や行動計画を参加国が自ら決めるボトムアップ型に転換した。
 
 かつては先進国と途上国の対立だった。しかし途上国も一枚岩ではなくなった。発展途上にある中国、インドなどの新興国はあくまで先進国の責任を追及する。海面上昇で水没の危機にある島嶼国は新興国も責任を負うべきだと主張する。各国の利害がより複雑となっており、従来方式では「すべての国の参加」が暗礁に乗り上げる恐れがある。決裂を回避しようと米国が提案し、13年にポーランドで開かれたCOP19で自主性を尊重する方式の採用が決まった。

 それでも課題がない訳でもない。14年に南米ペルーで開催されたCOP20では、各国が条約事務局に提出する目標に盛り込む項目が議論された。20年以降の削減目標以外に基準年(何年と比較するのか)、期間、野心的な目標といえる理由を提出項目とすることで合意。さらに「気候変動が引き起こす自然災害への対策(適応策)を含めることも検討する」とされた。

 一方で、EUや米国、島嶼国が要求した目標を検証する仕組み(プレッジ&レビュー)の導入は最終的に削除された。第三者からの干渉を嫌う中国などに配慮したと思われる。NGOなども各国が自主的に決めた目標が本当に厳しく、妥当であることを担保するために検証の仕組みを求めている。

「環境ソリューション企業総覧2015年度版」(10月14日発行、日刊工業出版プロダクション編)掲載記事を加筆・修正

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

各国の政府間で地球環境問題が話し合われるようになったのは72年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)が最初です。それからほぼ半世紀、すべての国が温暖化対策に参加することは国際社会にとって歴史的なことでしょう。自主目標方式は苦肉の策かもしれませんが、自分で決めた目標なら達成への意欲を持ちやすいはずです。

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