景気を占う“マザーマシン” 受注落ち込みは限定的か!?

8月の工作機械受注が23カ月ぶりにマイナスに。中国の減速響く

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昨年の日本国際工作機械見本市
 工作機械の受注額が23カ月ぶりに前年実績を下回った。日本工作機械工業会(日工会)が16日発表した8月の工作機械受注実績は、前年同月比16・5%減の1070億3800万円だった。中国受注は同55・9%減と急減。ツガミが中国現地工場の生産調整に入った。成長軌道から不安定な基調へと潮目は変わり、各社が戦略の見直しを迫られそうだ。

 北米、アジア、欧州の海外主要地域がそろって減少し、堅調な内需の増加分を打ち消した。スマートフォン(スマホ)向けを含む中国の「電気・精密」分野は同85・7%減。成長要因だったスマホ向け失速が全体に響いた。
 同日の会見で牧野二郎日工会副会長(牧野フライス製作所社長)は、個人的な意見としながら「年末にかけて前年比2ケタ減は避けられないだろう」との見通しを示した。ただ、スマホ特需の再発や米国製造業の活性化を織り込み「(2ケタ減は)長くても半年」(牧野副会長)とした。

「非常に大きな落ち込みはない」(牧野工作機械工業会副会長)


 日本工作機械工業会(日工会)が16日発表した8月の工作機械受注実績は、23カ月ぶりの前年割れとなった。先行きに不安が広がったが、受注合計は1070億3800万円で1000億円を目安とする健全水準を保っている。牧野二郎日工会副会長は「非常に大きな落ち込みはないだろう」と規模、期間ともに限定的な減少にとどまるとみている。

 外需は前年同月比31・2%減の593億700万円で3カ月連続の減少だった。外需と全体の足を引っ張ったのは中国受注だ。現地のスマートフォンを含む「電気・精密」が大幅減だったほか、市場規模が大きく、中小ユーザーの多い「一般機械」も同15・7%減と低迷した。現地では日本製中大型の高級機が依然堅調だが、一部の小型機では中国経済の減速によるマイナス影響が出ている。

 米国、アジア、欧州はそろって減少。米国では中国経済の混乱や主要経済指標の低迷、エネルギー・農業の需要減の三つの懸念があり、ユーザーがまとまった設備投資に慎重になっているという。ただ、牧野副会長の話では、米国製造業の活性が先々期待できるという。このため、今回の減少が大規模にならず年内までの一時的な動きになるとみる。

 一方、内需は同13・8%増の477億3100万円で26カ月連続の増加。5―7月に寄与した省エネ補助金による需要創出効果が薄れる中、2ケタの増加と健闘し、国内の底堅さを鮮明にした。10月以降はモノづくり補助金を利用した受注が期待できそうだ。

 1―8月の累計額は前年同期比9・3%増の1兆462億2700万円。日工会が年初に定めた年間受注目標額1兆5500億円の達成には、月平均1200億円超が必要だ。

                                 

日刊工業新聞2015年09月17日 1& 機械・ロボット・航空機面

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村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

中国の減速はある程度の想定内だろう。問題は北米の動向。1バレル=40ドル台の原油安で、自動車向けが“快走”ならば、エネルギー向けは“停電”といったところか。航空機向けは新型機の増産を見据えて“視界良好”で、総じてみると底堅いのだろう。

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