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“ラストワンマイル”解決だけでない、宅配ボックス向けサービス手がけるベンチャーの狙い

“ラストワンマイル”解決だけでない、宅配ボックス向けサービス手がけるベンチャーの狙い

PacPort公式動画より

PacPort(パックポート、東京都中央区、沈燁(シェン・イェ)社長、03・6823・5058)は、宅配ボックス向けソリューションを手がける。EC(電子商取引)サイトで購入した商品を発送から受け取りまでの状況を追跡できるスマートフォン向けアプリケーション(応用ソフト)と、宅配ボックスに取り付けるスマートロック、双方を接続するクラウドシステムの三つを開発する。ECに関連する利用者利便の向上と物流業の再配達問題の解消を目指す。

パックポートは宅配伝票に印字する「追跡番号」を活用することが特徴。ECサイトで購入した商品の追跡番号を同社のアプリに入力すると、クラウドを経由してスマートロックに番号を送信。宅配業者は伝票に記載する追跡番号のバーコードをかざすことで宅配ボックス内に荷物を投入でき、消費者は2次元(QR)コード化した追跡番号をボックスに認識させ、荷物を取り出す。

同社のアプリは、商品の発送から受け取りまでの状況を追跡でき、利用者が複数のECサイトで商品を注文した場合も同一画面で状況を確認できる。

一つの宅配ボックスにつき最大三つまで物品を納入可能。スマートロックの裏側にはカメラを設置し、ボックスのドアが閉まるたびに写真を撮影する。

物流業界では物流拠点から消費者に物品を届ける“ラストワンマイル”が課題。一方、ECサイトを活用した製品の購入はますます一般的になっている。沈燁社長は「安全・安心なソリューションを提供し、サービスを広げて行きたい」と意気込む。(取材・川口拓洋)

スマートロックを搭載した宅配ボックス(追跡番号で解錠する)。スマートロックの裏側にはカメラを設置、ドアが閉まるたびに撮影する
日刊工業新聞2020年1月24日
川口拓洋
川口拓洋 Kawaguchi Hiromi 名古屋支社 記者
パックポートが目指すのは「ラストワンマイル」の解決だけではない。スマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)を通じて拡大する消費者間取引(CツーC)での利用も見据える。つまり、自宅の宅配ボックスに物品を納入しておけば、物流業者が引き取り、他の消費者に届けてくれるという流れだ。コンビニや郵便局に行く手間が省けるほか、荷物が引き取られる瞬間もカメラで確認できる。消費者間取引という新事業をターゲットにした新たな市場が形成されるのか。期待は高まる。

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