【連載】よくわかるCOP21(2)先進国VS途上国激化、COP限界説を乗り越えて

第2回「先進国VS途上国激化、COP限界説を乗り越えて」

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世界のCO2排出量
**国際社会にとって画期的な「すべての国の参加」
 極寒のコペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)から1年、2010年にメキシコで開かれたCOP16でも先進国と途上国との主張は平行線をたどった。11年の南アフリカのCOP17で「ポスト京都」となる新枠組みは20年の発効で合意された。そして京都議定書最終年を迎えた12年末、中東カタールのCOP18で13年から20年は京都議定書を単純延長(第二約束期間)することで合意(ドーハ合意)。新枠組みが成立する20年までの空白を何とか埋めたが、参加国はEUとその他の欧州各国、オーストラリア。日本、ロシアは不参加、カナダは京都議定書自体から離脱した。

 この頃、COPの限界説もささやかれるようになった。新たな枠組みを作るには締約国すべての合意が必要。しかし先進国と途上国との主張に隔たりが大きく、枠組みづくりは難航するばかりで出口がみえなかった。その意味でも、合意への道筋がみえたパリCOP21(11月末開幕)は歴史的な会議となりそうだ。

 COP21で決まるであろう20年以降の枠組みは「パリ議定書」と呼ばれ始めている。基本ルールである「すべての国の参加」が国際社会にとって画期的だ。京都議定書は先進国だけが削減義務を負った。日本は08年から12年の第一約束期間中、90年比で6%、欧州連合(EU)は8%の削減が課せられた。当時、世界1位の排出国だった米国も義務を負ったが、参加しなかった。

現在の世界の排出量は90年の1・5倍


 過去からの排出量が多い先進国が、途上国より多くの責任を負うべきだという「共通だが差異ある責任」という原則が気候変動枠組み条約にある。先進国は削減義務を負うだけでなく、途上国に資金援助もしてきた。
 先進国と途上国の対立の構図もこの原則から生じている。排出削減はエネルギー消費の抑制につながるので途上国には今後の発展の足かせになる。そのため先進国がより多くの削減すべきだと主張する。

 しかし気候変動枠組み条約が採択された92年の地球サミット当時と状況は異なり、新興国も成長を遂げて中国は世界第1位、インドは第3位の排出大国となった。途上国も削減に加わらないと温暖化対策は実効性に乏しく、影響の深刻化は避けられない。日本など先進国は「平等」を主張し、11年のCOP17で新枠組みへのすべての国の参加が決まった(ダーバン合意)。

 ちなみに先進国37カ国・地域が参加した第一約束期間の平均削減率は09年比22・6%で、目標の5%を大幅に上回る成果だった。ただし参加国は世界全体の排出量の27%しかカバーできていなかった。第一約束期間参加国の努力があっても、現在の世界の排出量は90年の1・5倍の300億トン(CO2換算)以上に増加している。

「環境ソリューション企業総覧2015年度版」(10月14日発行、日刊工業出版プロダクション編)掲載記事を加筆・修正

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

京都議定書が終わる12年には間に合いませんでしたが、ポスト京都(新しい枠組み)の議論が少しずつ進みました。先進国と途上国の対立は目立つ話題ですが、振り返ると着実に議論は深まっていました。そう考えると年1回でも世界の国々が集まって温暖化対策を議論する場としてCOPが機能していたと思います。

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