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グローバル化に暗雲か?海外勤務望まない新入社員、過去最高に

産業能率大学 第6回「新入社員のグローバル意識調査」
 産業能率大学がまとめた第6回「新入社員のグローバル意識調査」によると、「海外で働きたいとは思わない」人が過去最高に。半数以上が外国人上司に抵抗感を感じると回答した。学校の英語教育もあまり役立たず、グローバル人材育成の難しさを浮き彫りにしている。

 海外勤務に対する意向については、「働きたいと思わない」層が基本的に上昇トレンドを継続、今回も前回の2013年度調査と比べ5・4ポイント上昇し63・7%となった。特に「どんな国・地域でも働きたい」人は20・4ポイントの大幅減少、一方で「国・地域によっては働きたい」人は15・0ポイントも増えた。

 「働きたくない」理由の第1は「自分の語学力に自信がないから」で65・6%。次いで「海外勤務は生活面で不安だから」(46・9%)、「自分の仕事の能力に自信がないから」(31・2%)と続く。語学力の問題が大きく影響している。

 学校の英語教育については、「話す」ことに関しては64・1%が、「聞く」ことに関しては52・4%が役に立たなかったと回答。「書く」も49・4%が、「読む」も37・7%が役に立たなかったと答えた。

 外国人上司に関しては「抵抗感がある」人が11・1ポイント増えて51・1%となり、01年度の調査開始以来初めて半数を超えた。過半数の人が日本の企業はグローバル化していると考え、またグローバル化を推進すべきと思っているのにも関わらず、上記の結果となった。

 同調査は15年度新卒新入社員に対しインターネットを使い7月末から8月10日にかけて実施。831人から回答を得た。
日刊工業新聞2015年9月17日付日刊工業新聞モノづくり基盤・成長企業面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
今回の調査はまたしても「若者の内向き志向」を裏付ける結果となっています。語学力への不安はさておき、外国人上司への抵抗感を感じるとの回答割合が増加している実情は、これだけ多様性が叫ばれる時代に意外な感じもします。

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