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どこまで伸びる訪日客!8月は約6割増の181万人で過去最高に

中国は2カ月連続で50万人超え。逆に日本人の出国者はマイナス
 日本政府観光局(JNTO)が9月16日に発表した訪日外客数2015年8月推計値によると、訪日客数は前年同月比63.8%増の181万7100人で、8月としての過去最高を記録した。出国日本人数は7.6%減の164万8000人だった。

 8月で最も多かったのは2014年の110万9569人で、70万人近く上回っている。月間の訪日客数は、2014年3月から1年6カ月連続で100万人を突破。JNTOが「重点市場」と定める20の国・地域中、インドネシアと英国、ロシアを除く17市場で8月の過去最高を記録し、このうち中国など計4市場で、単月の過去最高を記録した。

 JNTOでは今回の結果について、夏の旅行シーズンに向けての訪日プロモーションが奏功したと分析。新路線の就航などによる需要増、ビザ免除、クルーズ船の寄港増加のほか、MERS(中東呼吸器症候群)収束による韓国からの需要回復なども要因に挙げている。

 方面別に見ると、アジアでは中国が前年同月比133.1%増の59万1500人でトップ。全体を通じても1位となった。以下、韓国が55.5%増の39万1000人、台湾が36.6%増の31万3900人で続いた。香港は14万1500人(88.8%増)、インドは8700人(23.5%増)だった。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国では、タイが3万1300人(6.6%増)、シンガポールが1万2600人(52.6%増)、マレーシアが1万2300人(23.8%増)だった。インドネシアは9800人(15.9%増)、フィリピンは1万4800人(28.5%増)、ベトナムは1万3800人(44.9%増)だった。

 中国は単月の過去最高を更新。2カ月連続で50万人を超えた。クルーズ船の寄港数増加や航空路線の新規就航などで、家族や個人旅行での訪日数が増加。内陸部で展開するプロモーションが奏功した。台湾は8月の過去最高を記録。5月に高雄と台北で開催された旅行博でのプロモーションも効果を上げたとしている。韓国はMERS(中東呼吸器症候群)での旅行控えの反動で大幅に増加し、単月の過去最高を記録した。

 台湾のほか香港、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、インドが8月としての過去最高をそれぞれ記録した。

欧州ではイタリアとスペインが単月で過去最高
 欧州ではフランスが20.9%増の2万1200人で域内トップ。以下、英国の2万500人(29.7%増)、イタリアの1万6700人(56.6%増)、スペインの1万3500人(27.4%増)、ドイツの1万3400人(25.1%増)が続いた。ウクライナ情勢により2014年8月から経済制裁が続くロシアは4800人(10.3%減)で、前年割れが8カ月続いている。

 北米では米国が7万6900人(20.4%増)、カナダが1万7800人(25.2%増)。オセアニアでは豪州が1万7900人(36.8%増)だった。そのほかの国・地域からは36.7%増となる7万3200人が入国した。

 イタリアとスペインは、単月の過去最高を記録。フランスとドイツ、豪州、米国、カナダが、8月としては過去最高をそれぞれ記録した。

 JNTOでは、9月は韓国の旧盆休暇「秋夕」(チュソク、26日から29日)やマレーシアのスクールホリデー(19日から27日)と祝日(16日と24日)、インドの祝日(5日と25日)で3連休、ベトナムの国慶節(2日)など、アジアでは休日が多く、需要増を見込んでいる。また、中国の10月の国慶節(1日)に向けたプロモーションを実施し、需要喚起を図るとしている。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
日本政府観光局(JNTO)の発表値。やはり中国からの旅行者が多いです。

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