ゴーン被告会見を受け、サプライヤーから漏れた日産への叱咤

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経営再建に集中してほしい―。レバノンに逃亡した日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が8日開いた記者会見を受け、同社と取引するサプライヤー幹部からはこんな声が漏れた。すでにゴーン被告は日産から排除されたがいまだに“雑音”は収まらず、経営体制の混乱も続く。一方、2020年は新型車投入が相次ぎ、開発・生産現場は正念場を迎える。19年12月にトップに就いた内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)のリーダーシップが問われる。(取材=編集委員・後藤信之)

【無罪を主張】

レバノン現地からの報道によるとゴーン被告は会見で「私にかけられた容疑は事実ではない」とあらためて無罪を主張。日産との経営統合を求める仏ルノーの攻勢をかわすため、日産と検察が罪をでっち上げたと訴えた。

日産の業績についても言及し「17年に悪化し始め、18年はさらに悪化した」などと指摘した。ゴーン被告は16年度でCEOを降り形式的には日産トップではなくなったことから、後任となった前CEOの西川広人氏に「責任があり、自分で解決策を探さなくてはならなかった」と述べた。

しかし新型車の仕込みから発売まで5年程度はかかる。自動車は比較的息の長いビジネスであり、目先の収益確保に走ったゴーン被告のかじ取りの悪さが、今になって噴出したとみるのが自然だ。

【経営体制混乱】

日産はゴーン被告の退場後、事業効率化と、電動化など先進技術を盛り込んだ新型車の積極投入を組み合わせた経営再建策に着手した。だが西川氏は自らの報酬不正問題で19年9月にトップを辞任。同12月1日付で内田社長兼CEO、アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)、関潤副COOの3氏によるトロイカ体制が発足したが、関氏が12月に辞任を表明し、経営体制の混乱は収まらない。

【原点に集中を】

一方、20年には全面改良モデルを含め五つの新型車を投入する計画。足元では「案件が重なり、開発・生産現場はフル稼働状態」(日産幹部)にあり、雑音に振り回される暇はない。日産の広報担当者は「ゴーン氏の会見に目新しさはなかった。ビジネスにフォーカスする」と述べた。

日産と取引の多いサプライヤー首脳は「日産にはまずは魅力的な車をお客に届けるという原点に集中してほしい。強いリーダーシップに期待する」と語った。

日刊工業新聞2020年1月10日

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