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家業を継ぐため、システムエンジニアから転身―田中屋酒造店

【連載】旅行先で日本酒を一杯。(2)
家業を継ぐため、システムエンジニアから転身―田中屋酒造店

仕込みタンクで、もろみを撹拌しながら絞る

 第一回目に続き、北陸新幹線開通により長野から延伸された長野県飯山市より。

地元の材料と感性の味


 田中屋酒造店の「水尾」は、2012年の関東信越国税局酒類鑑評会で最優秀賞を受賞した。6代目当主の田中隆太が92年にたどり着いた地酒が、長野、新潟など6県の吟醸酒215点の中でトップに選ばれた。

 田中が家業を継ぐため、システムエンジニアから転身したのが90年。「20代だった自分が飲みたい酒でないと造りたくなかった」と、醸造用水の研究から始めた。当時は店の井戸水を使っていたため、水処理装置の専門家も呼び寄せて水の加工に試行錯誤したが、うまくいかない。専門家の「山紫水明の地で、何で水に苦労しなければならないのですかね」との一言がきっかけで、水を運んでくることをひらめいた。

 地元を調べ尽くした結果、蔵から北に20キロメートルほど離れた水尾山のわき水と出会った。「非常に柔らかくて切れ味のいい、後味の軽いところが自分が理想とする酒を造るのに最適な水だった」。今では仕込み水の全量をここから運んでいる。

 米にもこだわった。原料米は基本的に長野県産の酒造好適米を100%使用。このうち7割が蔵から5キロメートル圏内で栽培される契約米だ。大吟醸酒などには全国的にも希少品種である地元木島平村産の「金紋錦」を使う。「地酒は地元の材料と感性でなければ出せない味を出すことに価値がある」と言い切る。(敬称略)
 
 ▽所在地=長野県飯山市飯山
 ▽創業=1873年
 
 【看板商品】
 水尾 特別純米酒 金紋錦仕込
 
 ・味わい=味わい深く、なめらかなキレを持つ
 ・アルコール度数=15・5度
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
水尾は何種類か頂いたことがあります。北陸新幹線開通時には、金沢と長野の酵母それぞれで作った純米酒をブレンドさせた「結」という商品を発売していました。

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