2輪の国内回帰で現地調達は増えるか!?【連載】ホンダ 熊本の地から(下)

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九州武蔵精密のギア・シャフトのアセンブリー
 国内回帰でホンダの2輪車生産は増えるが、周辺サプライヤーの生産への影響は今のところ限定的だ。このほど生産を始めた排気量50ccの新型「ジョルノ」では、部品の現地調達率は金額ベースで24%に留まる。

 マフラーなどを製造する合志技研工業(熊本県合志市)の朝吹和博社長は、「3機種の移管を合計すると部品生産への寄与は大きくなる。だが、会社によって程度はまちまち」と語る。集中生産しやすさや輸送コスト、各社の技術力など条件が異なるからだ。「現地調達を増やす志はある」(鈴木哲夫ホンダ執行役員)というが、それには完成車と部品ともにもう一歩の努力が求められる。

 九州武蔵精密(同県錦町)は、高価格の大型スポーツバイクなどファン系バイクの国内強化に期待を寄せる。同社の主力製品は変速機構のギア・シャフトのアセンブリーで、バイクの性能や乗り味に直結するものだ。今回のコミューター用部品は武蔵精密グループのベトナム工場から供給するため国内生産には寄与しない。

 同社の松本直弘社長は「海外生産も連結では同じ。日本は世界の名だたる2輪メーカーと取引を拡大するチャンスがある。その基盤はホンダとのファン系の取り組みで技術を磨くことだ」と言い切る。すでに外資系では独BMWと英トライアンフに部品を供給しており、次の一手を狙う。

技術で貢献


 鍛造段階で部品の加工精度を上げて削る工程を短縮する同社の技術は、コスト低減や強度向上、乗り味となるシフトフィーリングに貢献する。ファン系への期待は自社技術の自信に裏打ちされたもので、「ホンダのファン系強化に技術で貢献したい」(松本社長)と意気込む。

 現在、ホンダの大型バイクがさらされる競争環境は厳しい。特に1万ユーロ(約135万円)以上の高価格帯は弱い。根強いファンを持つ海外勢に加え、国内のライバル・ヤマハ発動機もヒットを飛ばす。

ブランドづくり


 今後は「アフリカツイン」の復活や最高峰レース参戦車ベースの市販車を投入し、さらに「大型車の一部改良モデルを冬に投入する」(鈴木ホンダ執行役員)。相次ぐ新機種で存在感を高める。

 一方で、鈴木執行役員は「競合車が出る度にモグラたたきのように新車をぶつけていては、ホンダのブランドづくりは難しい」と反省も口にする。趣味性の高いファン系では高性能よりも、オートバイらしさが好まれる。そこに求められるのは飛び道具ではなく、必ず使う部品の地道な改良や組み合わせ、そこから生まれる乗り心地や操作感だろう。完成車から部品まで、国内回帰で熊本の力をためなくてはならない。
 (文=梶原洵子)

日刊工業新聞2015年09月17日 自動車面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

ホンダ取締役執行役員二輪事業本部長の青山真二氏は7月の当紙インタビューで「(大型車の)開発は熊本でやるから意味がある。工場のそばにサーキットがあり、阿蘇山などツーリングもできる。ここから発信したい」と発言しています。 国産であることの価値と、バイク好きにアピールできる熊本という土地を使ってブランディングすることが、バイク人気の低迷脱出のカギの一つになりそうな気がします。

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