「新電力の顧客」は誰が握る?国内外のシステムベンダーが続々参戦
電力小売りの全面自由化まで半年。通信に次ぐ巨大市場へ期待高く
電力小売りが全面自由化される2016年4月以降、家庭に販売を始める新電力向けに、顧客情報管理システム(CIS)の市場が活気づいている。電力会社の経営支援システムでは日立製作所や富士通、日本IBMといった電機やシステム大手などが伝統的に強いが、新電力向けでは電力会社系や独立系、外資系のシステム各社も参戦。電力会社のニーズを知るノウハウやグローバルな実績も強みに、需要を飲み込もうとしている。
「『うちは重電系のCIS採用を考えている』と断ろうとする新電力も、『当社は電力会社直系ですから』と誘うと話を聞いてくれる」。関西電力子会社、関電システムソリューションズ(大阪市北区)の山元康裕社長は、こう明かす。
同社は関電に鍛えられ開発してきた実用性の高いCISの外販を始め、新電力数社へ納入を決めた。「北海道から九州まで引き合いがくる。自社の商品やサービスと電力をセットで販売したいという相談が多い」(山元社長)という。
電力会社は原子力発電の長期停止による収益悪化で、電力事業以外の利益拡大も主要な課題。ほかの電力会社も、CISの外販進出が予想されている。
独立系も好機と捉える。ITホールディングスは関電と協力し、子会社のTIS(東京都新宿区)が関電システムソリューションズのCISを販売する交渉に入った。独自の電力会社向けソリューションサービスにCISを組み込み、競争力を高める。「10月までには交渉をまとめたい」(TIS)と意欲を示す。
アクセンチュア(東京都港区)とSAPジャパン(同千代田区)の外資系2社は共同で、東京電力も採用を決めたSAPのCISの提供を新電力に始める。
「アクセンチュアのグローバルな公益事業ノウハウと、世界的にシェアが高いSAPのCISで、ビジネスの立ち上げに貢献したい」(アクセンチュア)とアピールする。
新電力では大手ガス会社などが16年4月から家庭への販売開始を表明し、大手の通信・小売り・サービス各社も検討している。「4月の参入組向けは商談が一段落し、これからは4月以降の参入組がターゲット」(関電システムソリューションズ)になる。数万、数十万人の顧客を握る「BツーC(対消費者)の参入希望事業者が多い」(同)と見る。
「電力・ガスの自由化拡大はチャンス」(河野吉晴NTTデータ関西社長)と、業界の期待は膨らむ。通信自由化に次ぐ巨大な市場創出も見込める電力では、CIS市場も熱い商戦が続きそうだ。
(文=田井茂)
「『うちは重電系のCIS採用を考えている』と断ろうとする新電力も、『当社は電力会社直系ですから』と誘うと話を聞いてくれる」。関西電力子会社、関電システムソリューションズ(大阪市北区)の山元康裕社長は、こう明かす。
同社は関電に鍛えられ開発してきた実用性の高いCISの外販を始め、新電力数社へ納入を決めた。「北海道から九州まで引き合いがくる。自社の商品やサービスと電力をセットで販売したいという相談が多い」(山元社長)という。
電力会社は原子力発電の長期停止による収益悪化で、電力事業以外の利益拡大も主要な課題。ほかの電力会社も、CISの外販進出が予想されている。
独立系も好機と捉える。ITホールディングスは関電と協力し、子会社のTIS(東京都新宿区)が関電システムソリューションズのCISを販売する交渉に入った。独自の電力会社向けソリューションサービスにCISを組み込み、競争力を高める。「10月までには交渉をまとめたい」(TIS)と意欲を示す。
アクセンチュア(東京都港区)とSAPジャパン(同千代田区)の外資系2社は共同で、東京電力も採用を決めたSAPのCISの提供を新電力に始める。
「アクセンチュアのグローバルな公益事業ノウハウと、世界的にシェアが高いSAPのCISで、ビジネスの立ち上げに貢献したい」(アクセンチュア)とアピールする。
新電力では大手ガス会社などが16年4月から家庭への販売開始を表明し、大手の通信・小売り・サービス各社も検討している。「4月の参入組向けは商談が一段落し、これからは4月以降の参入組がターゲット」(関電システムソリューションズ)になる。数万、数十万人の顧客を握る「BツーC(対消費者)の参入希望事業者が多い」(同)と見る。
「電力・ガスの自由化拡大はチャンス」(河野吉晴NTTデータ関西社長)と、業界の期待は膨らむ。通信自由化に次ぐ巨大な市場創出も見込める電力では、CIS市場も熱い商戦が続きそうだ。
(文=田井茂)
2015年09月16日 電機・電子部品・情報・通信1掲載