ホンダ、円安背景に2輪生産を国内回帰 【連載】ホンダ 熊本の地から(上)

国内唯一の2輪工場・熊本製作所に原付生産を移管

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生産ラインでは新型ジョルノの最終チェックに余念がない
 ホンダは小排気量のコミューターバイクの国内生産回帰のスタートを切った。為替の円安進行を機に、「ジョルノ」を皮切りに「ダンク」と「タクト」の3機種を国内唯一の2輪車生産拠点である熊本製作所(熊本県大津町)で生産する。ただ、円安がずっと続くとは限らない。国内回帰で熊本を下支えし、大型車を含め総合的な競争力の底上げが求められる。

 11日に熊本製作所内で開催したジョルノのラインオフ式にはホンダの期待と意気込みが詰め込まれた。青山真二ホンダ取締役執行役員二輪事業本部長らがステージ上の大きな風船を割ると、中から鮮やかな水色の新型ジョルノが登場。さらに女性社員らが5色のジョルノを運転してステージに集まった。これから一番身近なバイクを自分たちの手で提供することになる。
 青山取締役執行役員は「熊本から、より多くのお客さまにバイクをお届けしたい」と語る。2016年度には3機種の移管により、コミューターの国内生産を7万台上乗せし、国内比率を1割弱から8割に引き上げる。2輪の国内生産全体では16年度に同20万台を超える見通しだ。

コスト優位性


 これまでジョルノは中国で生産し、ダンクとタクトはベトナムで生産している。為替の円安進行に加え、国内のコスト体質が改善されたが、それでも海外に対するコスト優位性は大きくない。「物流や品質対応など総合的な利点がある」(鈴木哲夫ホンダ執行役員)と考え、売れ筋カラーの補充など販売面との連携で国内生産の利点をフル活用する。
 島原俊幸執行役員熊本製作所長は、「熊本にコミューターから大型車までがそろうことで、より人の手を使わない生産の工夫を追求できる」と話す。02年に中国で「トゥデイ」を立ち上げて以降、海外で10年以上、コミューターの生産ノウハウを蓄積した。これを国内にフィードバックし、熊本の生産技術を高める。

2輪各社の動き


 ホンダが国内回帰を始めた一方、他の国内2輪各社に追随する様子はない。ヤマハ発動機は年20万台で採算のとれる国内生産体制を目指し、09年末時点の12工場25ユニット体制から10月には6工場13ユニットにスリム化する。スズキも設計・開発とエンジン製造、2輪車組み立てを17年中に稼働予定の浜松工場(浜松市北区)に移管・集約し、生産効率化を狙う。川崎重工業も「為替変動に左右されない体質をつくったため、国内移管の考えはない」(同社広報)。

世界最大手


 ホンダは2輪の世界最大手だが、14年度の国内生産は約13万6000台で、実はヤマハの約22万6000台(日本自動車工業会調べ)よりも少ない。グローバルで成長するためにも生産や技術でのマザー拠点の役割は大きく、これも国内回帰の理由の一つだろう。
 2輪の国内回帰により国内生産は年20万台超えの見通しが立つ。ホンダの課題は熊本での新モデル開発や地域経済への貢献に移る。
(下は18日公開予定)

日刊工業新聞2015年09月16日 自動車面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

九州で自動車生産というとトヨタ・日産・ダイハツの4輪のイメージが強いですが、ホンダの2輪もあります! 熊本での増産により、調達面の波及効果に期待がかかります。

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