ロボット導入コスト削減へ、進化する安川電機のAI技術
安川電機は、ロボットを活用した自動化システムの導入を効率化する人工知能(AI)技術を開発した。独自技術により仮想空間上に現実に近い学習環境を構築し、実装可能なAIを生成する。これまで実機で生成していた学習用のデータが不要になり、導入にかかる時間やコストを大幅に削減できる。まずはバラ積み部品の取り出し作業に適用し、ロボットシステムとして近く提供するほか、検査や故障予知など適用範囲を順次拡大する。
完全子会社のエイアイキューブ(東京都中央区)がAI技術「アリオム」を開発した。バラ積み部品の取り出し作業に適用する場合、対象の部品や作業環境を3Dカメラで複数撮影。シミュレーションソフトウエアに取り込み、AIで部品の摩擦感や光の入り具合などを含め、現実に限りなく近づけた作業環境を仮想空間上に構築する。次にロボットハンドで部品を安定してつかめる場所をシミュレーションしながら学習し、AIを生成する。
取り出しの成功率は90%台半ば。最終的に実機で検証して適用する。対象は金属品や唐揚げなど硬い部品から不定形品まで、同じハンドで取り出すことができる。AI適用までにかかる時間は3―4時間程度。部品を変更する場合は夜間にAIを生成しておき、翌朝に適用するといった使い方を想定する。従来は複数台のロボットで部品の取り出し作業を繰り返し学習し、AIを生成していた。
一方、基板のキズ検査など不良品が出にくい工程でも、数十枚の画像からシミュレーションでリアルな不良データをつくり、実装可能なAIを生成できる。安川電機はロボットとカメラを連携してキズを検査する工程など同技術の適用範囲を広げ、ロボットシステムの拡販につなげる。
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日刊工業新聞2019年12月17日