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書店じゃないところで、本が客を呼ぶ。無印良品・ローソン書籍専用棚導入

ボキャブラリー貧困時代、書籍が力を持つ?
 小売店が誘客ツールとして、書籍売り場を活用している。良品計画は4日に改装オープンした旗艦店の無印良品有楽町(東京都千代田区)に、商品とともに関連する書籍を並べた売り場「MUJIブックス」を全3フロアに設けた(写真)。ローソンは28日から約1000店舗に専用の書籍棚を順次導入し、書籍販売を拡大していく。

 無印良品有楽町では、食や素材などに関連した暮らしのヒントになる書籍約2万冊をそろえた。MUJIブックスを設けるのは、MUJIキャナルシティ博多(福岡市博多区)に続き、2件目だ。

 選書を担当した編集工学研究所(東京都世田谷区)の松岡正剛所長は「ツイッターなどで言葉を紡ぐ人は増えている。一方でボキャブラリーは貧困になっており、書籍が力を持つのではないか」と語る。

 ローソンの書籍専用棚には、小説や雑学の文庫本やビジネス書など、約75アイテムを並べる。店外の看板でも書籍を扱っている旨を表示する。

 通常の店舗では、コミックを除く書籍の取り扱いは約10―20アイテムだが、2014年6月から一部店舗に専用棚を導入して書籍を販売したところ、雑誌と書籍の合計売上高は約1割増えた。ポイントサービス「ポンタ」による購買分析では、書籍購入者の再来店率は通常より約20ポイント高かったという。

 インターネットの普及やネット販売、電子書籍の普及で、書店の数は減少傾向だ。こうした中、書籍を気軽に手に取って選べる場を提供して差別化を図る戦略だ。
日刊工業新聞2015年09月15日 建設・エネルギー・生活面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
逆に、書店の方でも本だけでなく雑貨や食品などの売り場を取り込んでいたり。 いろいろな切り口で本が集められ、棚に置かれることで、アマゾンや大型書店では出会えなかった本と出会えるところが魅力だなと思います。

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