ニュースイッチ

赤いトマト、見分けて摘み取る自走ロボット誕生へ

サイバニクス研究センターが開発

サイバニクス研究センター(茨城県つくば市、鈴木健嗣センター長、029・853・5858)は、温室栽培トマトで収穫に適した果実だけを選別し、摘み取る自走式ロボットを2020年度までに開発する。光のスペクトル測定技術と人工知能(AI)を活用。原型となるロボットを試作した。20年度につくば市をはじめ複数県の契約農家で使い勝手を検証するほか、品種で異なる適果の基準をロボットに落とし込む作業を進める。

農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターがカゴメやキッコーマンなどの民間企業と共同で進める「高付加価値野菜品種利用促進のためのAI―ロボット温室開発コンソーシアム」の一環。

ロボットはバッテリー充電で9時間作業を継続できる。夜間に温室内を巡回し、実を摘む作業を想定。苗木を傷付けないよう畝を走行し、床やハウス支柱などに取り付けた2次元コードで個々の苗木を特定する。

ロボット上部のアームを実の近くまで伸ばし、光を照射して測定、最適なトマトを選別し摘み取る。摘み取ったデータは苗木の位置情報と合わせて記録するため管理も容易だ。

トマトは赤く色付いた際に収穫するが、高リコピンのトマトなどは黄色が収穫に適している例もある。品種ごとの選果基準の違いや糖度の学習データをAIに覚え込ませる。

同システムで高付加価値のトマト栽培を容易にし、農家の収益性向上などを支援する。

日刊工業新聞2019年12月3日

編集部のおすすめ