議論を呼ぶ「○○資本主義」国家か株主かそして公益か

全体の利益を重視する「公益資本主義」フォーバル・大久保会長に聞く

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大久保氏
 公益資本主義推進協議会(PICC、東京都渋谷区、大久保秀夫会長=フォーバル会長)は、株主利益の追求だけでなく社会全体の利益を重視する「公益資本主義」の考え方を広める活動を進めている。8日には都内で倫理研究所(千代田区)など2団体と共催で、初の講演会とパネル討論会を開く。大久保会長に公益資本主義の意義や今後の活動について聞いた。

 ―設立の経緯は。
 「35年前のフォーバル設立時に会社を取り巻くステークホルダーに幸せを分配することを目的とする社是を作った。ただ、世の中は株主偏重主義に傾いていった。ある時、友人でアライアンス・フォーラム財団(中央区)の原丈人代表理事が書いた『21世紀の国富論』を読んだ。原氏が提唱する公益資本主義に共鳴し、この理念を広めようと2014年1月に設立した」

 ―公益資本主義の考え方を教えて下さい。
 「日本に古くからある考え方で、企業は社員、顧客、取引先、地域社会などステークホルダー全体への貢献を重視してきた。この考え方を今の経営者に教え、実践させたい。同時に株主偏重や市場万能をうたう金融資本主義などの問題点に警鐘を鳴らしていきたい」

 ―五つの委員会を設置したそうですね。
 「まず、100年企業研究委員会は100年以上続く企業に聞き取りして経営のヒントを探る。教育支援委員会は会員が自分の出身校に赴き、体験談や働く意義を語る出前授業を行っている。各大学に公益資本主義を学ぶ寄付講座を設ける準備も進めている。このほか官民連携による地域活性化、途上国での教育支援、会員交流のための委員会がある。私が講師を務める会長塾もある」

 ―8日に「未来創造経営者フォーラム」を開きます。
 「公益資本主義をベースにした日本的経営のあり方を世界に発信する。今回は教育をテーマに議論する。2回目以降は参加団体を増やし、社会全体の利益である『地球益』を考える国際的な会合『日本版ダボス会議』に発展させたい」

 ―今後はどんな活動を計画していますか。
 「アライアンス・フォーラム財団と共同で政治家や経営者らによる有識者会議を設けた。10月に『社外取締役制度の是非を問う』をテーマに議論し、提言をまとめる。会議はテーマを決めて年2回開き、政府に提言して制度改革につなげたい」

 【記者の目/日本古来の商道に立ち返る時】
 公益資本主義は日本古来の商道につながる考え方といえる。株主資本主義にとらわれず、日本的経営に戻れと訴える気概を感じる。世の中を変えるような潮流となるのかどうかは、会員となった経営者一人ひとりの姿勢にかかっている。
(聞き手=渡部敦)

日刊工業新聞2015年09月08日 中小企業・地域経済面

COMMENT

山口豪志
Protostar Hong Kong
董事長

様々な議論を呼ぶ、[○○資本主義]。 モノ言う株主やハゲタカファンドなどで社会問題にもなった[株主資本主義]、また、国家が資本主義に介入して管理する[国家資本主義]。そして、この記事にある社中分配と中長期投資によって公益という人類社会に貢献する[公益資本主義]。各経営者の選択によって社会がカタチつくられるので、このような活動がどう拡がるのか注目したい。

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