製本まで機械とロボットが一貫作業する印刷工場が注目されるワケ

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印刷物を製本機に挿入する人手作業を協働ロボットで自動化

印刷関連メーカーが企業の枠を超えて連携し、上流から下流まで各社の印刷・製本関連機器をつなげたスマート印刷工場の提案を本格化している。IoT(モノのインターネット)やロボットを用いて各社の機器を結び、顧客の効率化、省人化ニーズに応える。印刷業は国・地域で程度に差はあるものの、総じて人手不足や人件費高騰などの課題を抱えている。共創によるソリューション提案への期待度は高い。(京都編集委員・松中康雄)

海外業者も視察

11月中旬、平安神宮(京都市左京区)にほど近い展示場で、印刷関連14社が連携した国内初の展示会「THINK SMART FACTORY(シンク・スマート・ファクトリー、TSF)」が開かれた。国内はもちろん、欧米、アジア、中国、韓国などから多数の印刷業者が訪れ、関心の高さがうかがえた。

SCREENホールディングス製やコニカミノルタ製、リコー製などの印刷機、スイス・フンケラー製の加工機、太陽精機(京都市南区)製の製本機をつないだ一貫した印刷製本ラインや、商業印刷ラインなどの省力化を実演した。各社が個々にブースを設ける従来型展示会と大きく趣向を変えた。ロボットなどを用いた高効率な10を超える生産ラインやシステムに、国内外の印刷業者からは「分かりやすい」という声が相次いだ。

無人搬送車走る

キヤノン製の印刷機で刷った本1冊分の用紙を人の代わりに協働ロボットがつかみ、太陽精機製の製本機に挿入する業界初の製本ラインが披露された。1冊からの多品種少量対応ができ、毎時100冊ほどまでの小ロット製本を想定した構成だ。太陽精機が用紙を傷つけないようにロボットハンド部分などを新規開発。省人化・効率化を促す新しい提案に人だかりができた。

リョービ製のオフセット印刷機と品質検査装置を経た用紙を、無人搬送車(AGV)が運び、製本機に給紙する製本ラインなど、AGVで上流と下流をつなぐ、新しい提案も多数あり注目を浴びた。

多品種少量対応のインクジェットプリンターや製本機などをインライン接続し、1冊から印刷製本可能な自動化ラインでは、印刷業の発送作業までを省力化、効率化する実演を行った。学習塾の教室単位への送付を想定。国語・英語・数学・社会などの複数教材を混流製本し、送付先単位で箱に入れるまで自動化するデモンストレーション。人手と時間がかかる仕分け・発送作業を省力化する提案に熱視線が注がれた。

問われる共創力

印刷関連の上流から下流までの機器はすでに、通信で情報のやりとりはしているものの、人の介在を最小限に抑える一貫した自動化はこれからだ。本やカタログ、ダイレクトメール(DM)などの最終完成品にとって最適な工場像を示せるかがメーカーに問われ、共創の力が試される。

展示会開催で中心的役割を担った太陽精機の堀英二郎社長は、「つなげてみせることで、魅力ある展示会にできた。京都で2年おきに開催したい」と、手応えを感じていた。

日刊工業新聞2019年11月18日

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