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スカイマーク「独立の維持が責務」-インテグラル佐山代表に聞く

「社会的な影響の大きさや2000人以上の雇用を考え出資を決めた」
スカイマーク「独立の維持が責務」-インテグラル佐山代表に聞く

日刊工業新聞のインタビューに答える佐山氏

 民事再生手続き中のスカイマークの再生計画が1日に固まった。スカイマークの経営再建をめぐっては、大口債権者から対抗案が出たものの、債権者集会の投票の末、ANAホールディングス主導の支援で決着。競合であるANAのグループに入り、スカイマークが設立から堅持してきた「第三極」は維持できるのか。カギを握るインテグラルの佐山展生代表に、今後の方向性を聞いた。

 ―新体制にスカイマーク出身者を入れた意図は。
 「独立性を維持するためには、将来的にスカイマークの出身者が社長や会長をやるのが自然で、今回の体制はあくまで過渡期。インテグラルが指名する3人のうち1人はスカイマーク出身者にした」

 ―競合であるANAのグループにありながら、運賃や路線で、どのように独立性を維持しますか。
 「新体制では、利益相反のある行為には取締役全員の一致が必要になるなど、独立性を維持できる仕組みを作った。スカイマークの独立性の維持がインテグラルの責務。他のANAの関連航空会社は予約システムを統合したが、システム面でもどのように独立性を維持するか、議論しているところだ」

 ―予約システムはANAと分かれるのでしょうか。
 「すべての情報をANAに提供しなければ、スカイマークの運賃が決められないとなると、独立性があるとはとても言えない。情報は提供するが、それを受けてANAから出てきた情報をベースに、こちらに選択権、決定権があるような仕組みにしたい」

 ―投資ファンドにとって、出資の出口となる再上場はいつ頃になりますか。
 「ANAとは『3年を目標に』と言っている。インテグラルはこれまで12社に投資しているが、私が社外取締役になったのは2社しかない。今後1年くらいは、本件にかなりの時間を割くつもりだ」

 「スカイマークは株式を航空会社に売却できない。普通、投資会社は出口に制約のある案件には出資しないし、一つの案件に集中することもない。しかし、スカイマークが破産すれば、新たに第三極の航空会社を作るのは簡単ではないし、社会的な影響の大きさや2000人以上の雇用を考え、出資を決めた。気合を入れてスカイマークの再建にあたりたい」

【記者の目/運賃・路線で差別化必要】
 投資会社にとってその投資案件の出口は、出資を検討する際の最も重要な事項だ。佐山代表はスカイマークについて「今はそれどころじゃなく、何も考えてないに近い」と話す。投資会社のセオリーをも覆して臨むスカイマークの支援だが、運賃や路線で大手と差別化を図りながら、経営再建が果たせるのか、注目が集まる。
(聞き手=高屋優理)
日刊工業新聞2015年09月09日 3面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 スカイマークは9月末に新体制が発足します。ANAホールディングスの支援を受けることになりましたが、佐山氏はこれまで至るところで「独立維持」を強調してきました。本紙のインタビューでも、それは変わらないようです。  では、出資を受け入れる中で何をすれば「独立性を維持」していると言えるのか? 焦点の一つであるチケット予約システムのANAとの統合については「こちらに選択権、決定権があるような仕組みにしたい」と述べるにとどめました。

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