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初公開された新型「プリウス」の実力

トヨタのハイブリット車の成長を占う。リチウムイオン搭載、燃費は40km
初公開された新型「プリウス」の実力

ハイブリッドシステムを刷新した新型「プリウス」

 トヨタ自動車は9日(日本時間)、米ネバダ州ラスベガスでハイブリッド車(HV)「プリウス」の次期モデルを世界初公開した。約6年半ぶりに全面改良した4代目。設計改革「TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)」を初めて取り入れた。

 初公開のイベントでは、艶のある赤色の新型プリウスを披露。洗練されたデザインや、TNGAでこだわった低重心スタイルをアピールした。燃費は既存モデルより10%改善した。新型プリウスは年末に日本で発売し、燃費は1リットル当たり40キロメートル程度になるとみられる。順次、世界各地で販売する。

 新モデルは、トヨタのHVの成長を占う重要な車だ。モーターやトランスアクスル、電池といったハイブリッドシステムを刷新。小型化、軽量化し性能を高めた。電池にはニッケル水素電池のほかプリウス(ワゴンタイプのプリウスαを除く)として初めて、リチウムイオン電池を採用する。

 ここに高熱効率・低燃費エンジンを組み合わせる。JC08モード燃費では1リットル当たり40キロメートル(現行モデルは同32・6キロメートル)に達するとみられている。

 環境性能以外の魅力も高めた。TNGAに基づき刷新したプラットフォーム(車台)によりパワートレーンユニットを低配置化しエンジンフードも低く抑えた。低重心化によってスタイリッシュなデザインと操縦安定性の向上を両立。新型プリウスは全高が従来比20ミリメートル低くなった。さらに先進の安全技術も採用している。

 国内では近年、抜きつ抜かれつの燃費競争が繰り広げられている。HVではトヨタの小型HV「アクア」が同37・0キロメートル、ホンダの「フィットHV」が同36・4キロメートルと続いている。
 
 軽自動車もガソリンエンジン車ながら同30キロメートル後半をたたき出す。トヨタは新型プリウスで燃費性能の高さによるHV先駆者の実力をみせるとともに、車自体の魅力も高めて、他社との差別化を図る。
日刊工業新聞2015年09月10日1&3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
燃費は飛躍的にのびる。ただ30キロを超すクルマが数多く出てくる中で、どこまでそこか訴求につながるか。「HV専用車」時代が続くかの分かれ目か。

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