悩み多き“エイジョ”たち。男性中心の職場に風穴を開けられるか

リクルート、日産など7社の若手営業女子が、直面する課題に向き合った

  • 0
  • 0
若手社員のプレゼンに経営サイドも熱心に耳を傾けていた
 営業職に就く若手女性が企業の壁を越えて直面する課題を話し合うプロジェクト「新世代エイジョ(営業女子)カレッジ」の成果報告会が8日、都内で開かれ営業の第一線で女性が活躍し続けるために必要な施策をまとめ各社の担当役員に提言した。

 この取り組みは女性活用に積極的とされる企業でも、長時間労働や全国転勤を伴う営業部門は乗り越えなければならない課題はなお多いとの認識に基づき、2014年にスタート。リクルートホールディングス、日産自動車、日本IBM、キリン、三井住友銀行、KDDI、サントリーホールディングスの7社が参加している。

 プロジェクトでは業界横断の混成チームで現状打破につながる具体策を4カ月かけて検討。このアイディアを社内体制の整備など働きやすい環境づくりにつなげる狙いがある。初年度となる2014年には提案されたアイディアのうち、7社が共同利用できる「サテライトオフィス」が具体化。今夏、一部利用が始まっているという。

 2年目となる今回は営業チーム内に育児休暇から復帰した営業女性の活躍を後押しするため「エイママ(営業ママ)ポスト」を割り当てるアイディアや、時間管理をサポートするアイテムとしてモバイルアプリケーションソフトの導入といった施策などが発表された。
  
 「営業現場は時間的な制約を伴う働き方を受け入れにくい風土が根強い」「俺はダイバーシティなんて認めないといまだに公言する上司がいる」「時短か長時間労働かの二者択一しかないという固定概念が強い」-。

 成果報告会では、営業の第一線で日々、悪戦苦闘する若手女性のリアルな声が相次いだ。彼女らの提言に耳を傾ける経営サイドからも「長時間労働に基づくハイパフォーマンスを認めてきた部分は確かにある」、「時間管理術が必要なのはむしろ男性社員」といった声が上がった。

 企業の中でもとりわけ、長時間労働、男性中心といった均一的な風土が色濃い営業現場の組織改革の重要性はもとより、営業女性にとって「このまま続けられるのか」との迷いの背景にあるのは、出産や育児を経ても第一線で自身が活躍できる姿がイメージできるロールモデルが圧倒的に少ないことだ。

 今回の提言のなかに、キャリアロードマップの作成や上司とのコミュニケーション円滑化といった視点が目立ったのも、「先が見えないことへの女性特有の不安のあらわれ」。日産自動車専務執行役員の星野朝子さんはこう分析する。
 
 このプロジェクトに参加する営業女性は一様に前向きで、若手ながらもそれなりの実績を上げていることがうかがえる。「真面目で頑張り屋」な彼女らが、働き方改革に風穴をあけることが期待される一方で、長い会社人生、常にアクセル全開で走り続けられる時ばかりではない。「自然体」で当たり前に働き続けることができる環境整備が待ち望まれる。

 「もっとわがままでいいし、あなたたちの常識は違うんだともっと言っていい」。星野さんのこの言葉は悩み多きエイジョへの最大のエールである。

ニュースイッチオリジナル

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

半日にわたる成果報告会を取材しましたが、ずらり並んだ各社の人事や営業担当役員(大半がおじさん)を前に熱弁を振るう「エイジョ」の姿は頼もしく、ひ弱な男性社員など足元にも及ばない迫力がありました。仕事に対するやる気、真摯な姿勢、真面目さ。出産や育児を機にこれらが削がれてしまうことは日本にとって大きな損失だとつくづく感じました。

関連する記事はこちら

特集