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8月の中国輸出5.5%マイナス。減速懸念が一段と強まる

中国新車販売は「3増4減」
8月の中国輸出5.5%マイナス。減速懸念が一段と強まる

7月の上海国際工作機械見本市

 中国税関総署が8日発表した8月の貿易統計は、輸出が前年同月比5・5%減の1968億ドル(約23兆円)、輸入が同13・8%減の1366億ドル(約16兆円)となった。輸出は2カ月連続、輸入は10カ月連続の前年割れ。米国を除き世界の景気回復が遅れているほか、中国の内需も力強さに欠け、輸出入ともに減少した。市場では中国経済の減速懸念が一段と強まりそうだ。
 1―8月累計の輸出は同1・4%減。最大の仕向け地の米国向けが同6・1%増となったものの、日本向けが同10・4%減、欧州連合(EU)向けが同4・7%減と落ち込んだ。輸入は同14・5%減で、最大の相手国であるEUからが同13・5%減、日本からが同11・5%減、米国からが同7・3%減と軒並み振るわなかった。

 中国は8月に人民元の対ドルレートを切り下げたが、まだ明確な輸出促進効果は出ていないもようだ。輸出が伸び悩む一因に「繊維や靴など労働集約型産業の中国国外への移転がある」(日本貿易振興機構=ジェトロ)とみられ、ベトナムなどより人件費の安い国への生産シフトも輸出減につながっているとの見方がある。

 輸入は石油などの商品価格の下落も金額を押し下げている。また「自動車や鉄鋼などで中国での現地生産が進んだ」(ジェトロ)ことから、輸入品を購入するケースが減っている。8月に爆発事故が起きた天津港は輸出入ともに全体の5%前後の割合を占めているが、統計全体に大きな影響はなかったようだ。

 今後については、輸出促進のため人民元を再度切り下げるとの臆測もあるが、米国の利上げ観測などで元売り・ドル買いが進み、足元は逆に元買い介入を強いられているとの見方もある。元切り下げが実施されるかは微妙な情勢だ。

日系メーカー、明暗くっきり


 日系自動車メーカー7社の8月の中国での新車販売台数は、トヨタ自動車ホンダマツダが前年同月実績を超えた。日産自動車など前年実績割れのメーカーと、明暗が分かれる状況が続いている。

 トヨタは主力「カローラ」「レビン」に加え、スポーツ多目的車(SUV)「ハイランダー」も牽引し、前年同月比20%増となった。8月12日に起きた天津市の港湾地区での爆発事故で工場の操業を一時停止したが「在庫があり販売面に大きな影響は出なかった」(広報)としている。ホンダは小型SUV「ヴェゼル」「XR―V」の販売増が寄与し、同50・7%増と伸びた。

 日産自動車は同5・5%減となった。「商用車の市場低迷と、乗用車での販売競争激化の影響を受けた」(広報)ため。スズキ三菱自動車、富士重工業は2ケタ減となった。7月もトヨタ、ホンダ、マツダが前年同月超えとなり、残り4社が前年割れとなった。
日刊工業新聞2015年09月09日 国際&自動車面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
8月の中国の貿易統計では、人民元切り下げの“効果”が見えずらい。9月以降、輸出圧力につながるのか、動向を注視する必要がある。国内消費ではスマホ販売は失速した。自動車は地場メーカーは厳しく、外資もインセンティブ競争に巻き込まれている。

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