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航空政策に「司令塔」を 議員連盟が法案提出へ

航空政策に「司令塔」を 議員連盟が法案提出へ

「MRJ」などを機に、航空産業の振興を加速する(地上走行するMRJ、6月8日撮影)

 自民党などの国会議員で構成する航空機産業推進議員連盟(桜田義孝会長)が議員立法で成立を目指す「航空基本法案」の概要が明らかになった。航空行政の一元化を狙い、首相を本部長とする「航空政策本部」と担当相の新設を明記した。製造拠点の集積やネットワーク化を進め、産業基盤を強化する条項も盛り込んだ。国産小型旅客機「MRJ」をはじめとする航空機産業の拡大に向けて、振興を加速する。

 日本の航空行政は経済産業省や文部科学省、国土交通省、防衛省などに分かれ、「司令塔不在」との指摘もある。一方、宇宙分野では宇宙基本法の下に国が主導的に推進する体制ができている。航空分野でも同様の一元化を目指す。

 法案では航空政策本部が「航空基本計画」を策定し、航空産業の将来像や数値目標、具体的な施策などを定める。さらに、有識者や業界関係者らで構成する「航空政策委員会」を内閣府に設けて、政府方針や政策に関する意見収集を図る。
 議連は与野党のほか産業界、学術界とも連携して法案の詳細を詰める。今国会への提出を目指してきたが、安全保障関連法案などの審議もあり、秋の臨時国会または2016年の通常国会に持ち越される可能性もある。

 国の航空政策を巡っては、経産省など関係省庁が今後の産業の方向性を定める「航空産業ビジョン」を策定中。2030年前後をめどとする次世代旅客機の開発構想もある。
日刊工業新聞 2015年09月02日1面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
永田町の一部に「航空機を基幹産業にしよう」という動きが出てきています。モデルになっているのは宇宙政策。首相をトップとする本部が一括して方向性を決め、予算を配分し、民間にやらせるという「官邸主導型」の政策です。確かに航空機産業の「司令塔」を設けるべきという指摘にはうなずけますが、果たして「省益」を乗り越えられるかどうか。個人的には、まだ見通せません。

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