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人工知能(AI)が現場の創意工夫を理解し、業務改善を指示

ビッグデータ活用し日立が開発
 人工知能(AI)が改善指導―。日立製作所は物流倉庫など現場の創意工夫を理解して業務改善を指示する人工知能を開発した。作業記録や仕事量などのビッグデータ(大量データ)と、利益や作業効率などの経営指標との関係を解析して最適な仕事手順を発注する。実際に物流倉庫業務に適応した結果は、業務効率を8%改善した。事業化は未定。今後、モノづくりやプラント操業、交通、金融などの現場で、改善能力を実証する。

 業務データと経営指標の相関を調べて、経営改善に効果がありそうな改善点を推定する。例えば物流倉庫業務では棚配置や商品配置、商品をとる順番など数十種類のデータから数十万個の分析因子を自動生成する。利益などに貢献する因子と悪化させる因子を抽出し、数式に変換して改善案を算出する。

 実験では作業量の急激な変動にも対応できた。倉庫の事例では集品する順序が変わるだけで、作業者はAIに指示されているかどうか気付かない。人間が行う短期間の改善指導と違って、AIは毎日自動的に改善を続ける。現場の改善活動によって経営指標が向上すれば、AIの業務発注に反映される。
日刊工業新聞2015年9月7日付機械・ロボット・航空機面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
日本製造業の競争力の源泉である「カイゼン」にAI(人工知能)活用の余地があったとは・・・。

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