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カラコン業者を倒産に追い込んだ金融コンサルタント

マルコス、循環取引の罠にはまる
 中小企業にとって資金調達など金に関わる問題は、重大な悩みの一つだ。金融コンサルタントと呼ばれる人々はこの問題を解決する能力にたけており、企業経営者にとっては、ありがたい存在である。ただし、相談する相手を間違うと、かえって痛い目にあうということを忘れてはいけない。

 マルコスは2013年1月に設立。カラーコンタクトレンズなどを大手量販店向けに販売し、14年10月期は年売上高約6億2000万円を計上していた。

 その後、事業規模を拡大させ、同社公表の18年10月期決算では年商74億円規模となっていた(実際は約40億円)。だが、事業規模の急拡大に伴い、相応の資金需要が発生。銀行借り入れだけでは賄えず、取引先から資金援助を得ながら資金繰りを回していた。

 この資金援助が、純粋な貸し付けであれば問題なかったが、循環取引という形で行われていたほか、手数料(実質的な利息)が25―35%と高利であったため、次第に泥沼にはまっていった。

 この資金スキームを生み出したのが、金融コンサルタントのA氏だと言われている。A氏は同社以外の会社にも入り込み、この循環取引の輪を広げていた。

 また循環取引により年々増加する売上高を利用し、好業績の優良企業に見える決算書を作成。いわゆる粉飾決算である。これを持って金融機関へ資金調達を打診することで新規融資を得ていた。

 ただし取引先に対する手数料が収益を圧迫し、結局は厳しい資金繰りは改善しなかった。むしろ、循環取引を行っているという風評が広がり、経営環境は大幅に悪化していった。

 融資が打ち切られ、取引先からは資金回収を迫られ、19年9月に破産手続き開始決定を受けた。金融コンサルタントがいたからこそ延命できたという見方もあるが、不正はいつか暴かれる。循環取引で失った社会的信用と取引先にかけた迷惑を思えば、A氏は金策を相談すべき相手ではなかったと言わざるを得ないだろう。
(文=帝国データバンク情報部)

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<企業概要>
(株)マルコス
住所:東京都港区西新橋2―35―2
代表:小杉敏弘氏
資本金:9900万円
年売上高:約74億9300万円(18年10月期)
負債:約53億7000万円


日刊工業新聞2019年10月8日

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