日米合意もトヨタ社長は「自動車VS農業」の対立軸に疑問符

自工会会長としての立場で語る豊田社長
 日米貿易交渉の最終合意を受け、財界首脳は相次いで歓迎するコメントをしている。焦点の一つだった米国による自動車への追加関税の回避を確認できたことで、ひとまず安堵した格好だ。

 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は26日、都内で開いた定例会見で、「日米両政府の交渉関係者の尽力に敬意を表したい。(米国の自動車関税が)回避の方向に議論が進んでいることは、日米両国のステークホルダーにとってよいことだ。今後も我々(自動車メーカー)はどの国においても、その国から選ばれる良き企業市民であり、その街1番の自動車会社を目指して各社が競争しながら努力していく」と述べた。

 一方、「自動車産業を守るために農業が犠牲になったのでは」との指摘に対し、「決して『自動車対農業』という対立軸に話をもっていってほしくない」と注文をつけた。

経団連、「安定的な発展」歓迎


 経済3団体は26日、日米貿易交渉の最終合意を受けて相次いで声明を発表した。経団連の中西宏明会長は「日米貿易関係の安定的な発展につながり得るバランスのとれた合意に達したことを歓迎する」とコメントした。

 また、米国での自動車や自動車部品の関税撤廃が先送りされたことについて、「総体として早期の関税撤廃・削減に合意したこと、さらに、協定履行中は協定および共同声明の精神に反する行動をとらないことが併せて確認された」とした上で、日本の農産品輸入水準と合わせ、「昨年9月の共同声明にも沿った結果であり、評価できる」とした。

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「双方の産業力強化に資する、互恵的な内容になった」と評価した。また、日本商工会議所の三村明夫会頭は合意を歓迎した上で、自動車や自動車部品の「関税撤廃の時期や原産地規則の詳細など、継続協議となった事項の速やかな合意を期待する」とした。

貿易会会長、継続協議は早期解決を


 日本貿易会の中村邦晴会長も「自動車産業はすそ野が広い。規制が発動されれば、企業経営への不透明感が一層増し、日本経済全体への大きな影響が懸念されていたので朗報だ」と評価した。自動車や車部品に対する米国の輸入関税の撤廃時期などが継続協議になったことについては「今後の交渉で早期の解決をお願いしたい」と述べた。

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日刊工業新聞2019年9月27日

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