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JR東日本が連続不審火の火災対策へ

重要な拠点には防犯カメラも増設
 JR東日本の冨田哲郎社長は2日、山手線沿線などで発生している連続不審火による火災について、「ケーブルを耐火シートで覆い、変電所や沿線の巡回頻度を高めて警戒態勢を強化する」と今後の対策を示した。JR東日本管内では、8月16日以降、山手線や中央線など都内の設備で電力ケーブルや変電所、倉庫などが燃える事件が相次いでいる。

 JR東日本の施設で発生した不審火による火災は、16日に東京・北区の踏切付近で発生し、2日後の18日には中央線立川―国立間の高架下で電力ケーブルが燃え、4時間にわたり運転を見合わせ、7万人に影響が出た。その後も22日に中央線中野―東中野間で通信用ケーブルが燃え、23日に品川変電所で不審物があったほか、27日には山手線目黒―恵比寿間の線路脇の信号用ケーブルが燃え、30日にも同区間で架線を支える滑車が燃えた。

 警視庁では、放火の疑いがあるのはこのうち6件とみており、31日に捜査本部を設置した。JR東日本でも30日に対策本部を設置し、沿線や変電所の巡回頻度を増やし、警戒態勢を強化している。

 18日の立川のケーブル火災については、鉄道総合技術研究所に原因の究明を依頼し、10月末に調査結果が出る見通し。冨田社長は「拠点となる部分や重要なスポットとなる部分には防犯カメラの増設を考えている」と述べ、防犯体制を強化する方針を示した。
日刊工業新聞2015年09月03日 建設・エネルギー・生活面
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
JR東日本の連続不審火による火災は、線路脇の電力ケーブルが、道路のすぐそばにあるなど、外部から故意による攻撃を受けた際の脆弱性を露呈しています。冨田社長は防犯カメラを増設する方針を示していますが、地上設備の設計の考え方を前提から変える必要がありそうです。

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