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エンブレム撤回、パートナー企業の反応は?

とにかく新しいデザインに期待
 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が公式エンブレムの使用中止を決めたことを受け、五輪のスポンサー企業はウェブサイトからエンブレムを削除するなど対応に追われている。しかし、既に広告に印刷して取り消しが間に合わないケースも。多額の契約料を支払っている企業からは「新しいエンブレムはいつ決まるのか」と、困惑する声が聞かれた。
 
 【大損失はなく】
 日本航空(JAL)は、東京モノレールやりんかい線の駅数カ所に出している広告にエンブレムを使用していた。鉄道会社との調整が必要なため、現状そのままだが、JALではなるべく早く差し替える意向だ。みずほフィナンシャルグループも、羽田空港国内線のボーディングブリッジの看板に使用しているが、近日中にエンブレムを見えないようにする。

 また、全日本空輸(ANA)は機内誌『翼の王国』にエンブレムを印刷しており、9月号を配布する初日に使用中止が決まった。9月号は組織委員会の了承を得て、このまま掲載するため、大きな損失などはないという。

 【まずは様子見】
 テレビCMでエンブレムを使用していた東京海上日動火災保険や日本生命保険、三井不動産などは、エンブレムを日本オリンピック委員会(JOC)などのマークに差し替えた。野村証券もCMにエンブレムを使っていた。差し替えなど今後の対応は未定だが、「大会組織委員会の判断に沿って対応する」(野村証券)。

 また国際オリンピック委員会(IOC)と契約する「ワールドワイドパートナー」は東京五輪の前に16年のリオデジャネイロ五輪、18年の平昌五輪を控え、「東京のエンブレムは、まだ使用の検討をしていなかった」(ブリヂストン広報部)。

 パナソニックや韓国サムスン電子、米ダウ・ケミカルの日本法人のダウ・ケミカル日本(東京都品川区)なども東京のエンブレムは使用していない。トヨタ自動車も「これから(使用を)検討する予定ではいたが、使用の実績はない」(広報)としている。

 【早期解決望む】
 今回の使用中止でスポンサー各社は一様に落胆している。「早い時期からエンブレムを使える方が良いという意見に変わりはない」(キヤノン)と早期の解決を求めている。仕切り直しとなった今、スポンサー各社は「新たなエンブレムが多くの方に親しまれ、日本全体を盛り上げていくものとなってほしい」(アサヒビール)と強く望んでいる。
日刊工業新聞2015年09月03日 3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
この五輪の意義についてよく使われる「レガシー」(遺産)を次世代に残す。今のところネガティブなレガシーばかり。

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