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ハウスに積もる雪を溶かし、作物を育てる低コストなヒーティングシステム

ハウスに積もる雪を溶かし、作物を育てる低コストなヒーティングシステム

農家向けは土中にケーブルを通して加温する

 【横浜】熱源(川崎市麻生区、船崎帆洸社長、044・328・9931)は、温度が即座に上昇する独自のケーブルを農作物栽培の低コスト化などに活用する「ヒーティングシステム」事業を加速する。農家に対し、重油を使った従来の加温方法に代わる温度管理法として売り込むほか、雪の多い地域で屋根などに積もった雪を溶かす手段として提供する。同事業の売上高を現在の約1000万円から2022年に1億円まで引き上げる。

 事業ではステンレス製ケーブルに絶縁用のシリコンを被覆した独自の「チーターボルトケーブル」を使う。ケーブル自体は電気で加熱する仕組みで、電圧を加えると30秒で80―100度Cまで達する。すでに北海道の企業などに対し、屋外の通路にケーブルを敷いて雪を溶かす用途で販売実績がある。

 農家向けには、農作物の根元や土の中にケーブルを通し、加温が必要な箇所のみを温めることで効率的な栽培を促す。ビニールハウス内全体を加温器で温める従来の手法では、重油の維持管理にコストや手間がかかり、生産できる農作物が限られた。ヒーティングシステムを使えば従来より「コストを半減できる」(船崎社長)。

 融雪の用途では、傾斜のある屋根やソーラーパネルなどで使える。パネルの裏面の下部にケーブル1―2本を横向きに引き、パネル下部が5度C程度になるようケーブルの温度を自動調整する。これにより、パネルの端に積もった雪から徐々に溶かす。降雪地域では住民の高齢化が深刻なところも多く、同システムにより除雪の負担軽減を図りたい意向。電気工事業者などを介して提供する。

 同社はシステムの拡販に向け、川崎市農業技術支援センター(同市多摩区)などと実証試験を重ねてきた。新用途での提供により、社会的課題の解決に貢献したい考えだ。

日刊工業新聞2019年9月3日

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