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車のエネルギー効率60%向上?世界が注目する単層カーボンナノチューブ
11月に京都で大規模な国際イベントが開催
カーボンナノチューブ(CNT)が日本の科学者達によって発見されてから、はや30年。その日本で、ナノテクノロジー応用技術が一堂に会するイベント「NAUM」サミットが京都市左京区の国立京都国際会館で11月5、6日に開かれる。NAUMは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の多種多様な産業での使用法を網羅する世界最大のイベント。これに先駆け、SWCNTが各種素材の機能をいかに高め、日常生活の中で貢献しているかを、日本でSWCNTビジネスを展開する楠本化成(東京都千代田区)CNT事業推進室長の田之畑博文さんに聞いた。
ーSWCNTはなぜ、それほど注目されているのですか。
その特性には類がないからです。グラフェンを除いて、非常に強く、軽く、柔軟性があり、導電性がある材料は他にはありません。実際、SWCNTはグラフェンの一種で、巻き上げられたグラフェンシートとして見ることができます。
非常に重要なのは、材料の改良に必要なSWCNTの配合量が少なく済むことです。化合物の総重量の0.01%から効果が期待できます。これは、SWCNTの長さと直径の比(アスペクト比)が極めて大きく、材料内で3次元の補強および導電性ネットワークを形成し、材料の重要な特性の信じられない組み合わせをもたらすためです。
ー楠本化成がSWCNT事業を強化するようになった経緯は。
楠本化成は、化学会社として顧客から高い信頼を得ているという自負があります。当社は常に、業界の高い要求を満たせることができる新しいテクノロジーを探しています。そうした中で2年前、世界最大のSWCNTメーカーであるOCSiAlの日本総代理店になりました。現在、日本市場におけるSWCNTを利用した技術開発をリードしています。
ー成長が期待できるSWCNTの応用市場はどの領域ですか。
今年、バッテリー用途向けのSWCNT分散液の生産を開始しました。バッテリーメーカーは、「大衆市場の電気自動車用のリチウムイオンバッテリーのサイクル寿命をいかに延ばすか」という問題に対するソリューションを模索していると認識しています。そこで、TUBALL™シリーズ(水ないしNMP分散液)を市場投入しました。本分散液は、密着性、安全性、レート特性、サイクル性能の向上を可能にするため、より多くの活物質を使用でき、正極のエネルギー密度を最大化できます。最新の高エネルギーNCMおよびその他の正極材料添加量を最大99%にまで高めることが可能になります。シリコン負極では、この材料の重要な問題であるサイクル寿命の短さを解決します。これは電気自動車産業にとってコンシュマー市場に進出する上で非常に重要だと考えます。
ーほかにSWCNTではどのような応用開発が試みられてますか。
SWCNT関連プロジェクトのほとんどは、現在、ナノチューブを使用したさまざまな材料の電気導電性および機械的特性の改善に焦点を当てています。機械的特性に関して言うと、ターゲットとなる物性は、特定のアプリケーションに応じて、強度改善、弾性の維持、耐摩耗性改善などです。 SWCNT使用により、ポリマー、バッテリー、ナノコンポジット、タイヤ、繊維などで、既存の材料の特性よりもはるかに優れた独自の特性が備わり、新しいビジネスチャンスと市場の広がりを期待しています。
進行中のすべてのプロジェクトを世界中のさまざまな地域のSWCNT製品とリンクしていけば、未来の車全体がナノ補強材料で作られるという驚きの結果になるかもしれません。OCSiAl によると、SWCNTをバッテリー、タイヤ、プラスチック製の自動車部品で同時に使用すると、自動車の全体的なエネルギー効率が50〜60%向上するということです。将来の輸送機器は、この秋11月5〜6日に京都で開催される NAUM’19の中心的なトピックのひとつです。
京都で開催されるNAUM’19では、SWCNTと協力する世界中の企業と業界の専門家がエキサイティングな結果を共有します。それに加えて、日本、ヨーロッパ、アメリカの科学者は、アプリケーション開発の進行状況を説明します。これには、バッテリー、自動車産業、ロボット技術およびテキスタイルのセンサー、電子機器用のゴムおよびシリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびコーティングが含まれます。
-NAUM’19へは、どのような人がどのような目的で参加しますか?
化学、自動車、鉄道、航空宇宙・防衛、エレクトロニクス・半導体、発電・エネルギー貯蔵、石油・ガス、金属・鉱業、建設・インフラ、海運、スポーツ、レジャー・消費財産業、バイオテクノロジーの分野に携わる方は、競争力を維持していただくためにNAUM’19に参加して頂きたいと思います。また、単層カーボンナノチューブとナノ材料を研究している方も、この知識共有サミットの雰囲気を体験していただければと思います。
NAUM’19のゲストスピーカーを紹介して下さい。
ゲストスピーカーとして、世界各地から業界をリードする団体の代表が招待されています。現在参加の確定している団体は日本の企業、信州大学(遠藤守信特別特任教授)などの大学のほか、産業技術総合研究所、Lufthansa Technik Intercoat(ルフトハンザ テクニック インターコート)、Shenzhen BAK Power Battery(深圳BAK パワー バッテリー)、Arrival(アライバル)、CRH(シーアールエイチ)、Lehmann & Voss & Co(レーマン&ヴォス)、BYK Additives(ビックケミー)、One D Material( ワンディー マテリアル)、Rice University(ライス大学)、Fraunhofer IPA(フラウンホーファーIPA)、the University of Newcastle(ニューカッスル大学)、 Airbus Defence and Space(エアバスディフェンスアンドスペース) と多彩です。
NAUM’19に関する詳細は、こちらでご覧下さい。
OCSiAl(オクサイアル)は2009年創業のルクセンブルグに本社を置く、世界最大級のSWCNT製造企業。産業用途向けで利用が容易になるよう、溶媒、水、樹脂、反応性希釈剤、可塑剤、加工助剤と複合化した商品を次々に展開してきた。矢野経済研究所の調査によると、SWCNTの世界シェア 90% 以上を保持している(2018年12月時点)。
主力製品のTUBALL™(チューボール)は、2016年9月SWCNT製品として、初めて欧州連合(EU)の化学物質登録規制のREACHに登録された。TUBALLの添加により、商品の塗膜硬度、基材との密着性、耐摩耗性、引張強度、弾性率などが向上するため、広く産業応用が期待される。
ロシアアカデミー出身の物理学者で、プラズマテクノロジーを研究してきたミハイル・プレデチェンスキーの技術をもとに創業。社長は共同発起人の一人であるユーリー・カラパチェンスキィ。日本にも拠点を置き販売総代理店は楠本化成(東京・千代田区)が務める。>
ーSWCNTはなぜ、それほど注目されているのですか。
その特性には類がないからです。グラフェンを除いて、非常に強く、軽く、柔軟性があり、導電性がある材料は他にはありません。実際、SWCNTはグラフェンの一種で、巻き上げられたグラフェンシートとして見ることができます。
非常に重要なのは、材料の改良に必要なSWCNTの配合量が少なく済むことです。化合物の総重量の0.01%から効果が期待できます。これは、SWCNTの長さと直径の比(アスペクト比)が極めて大きく、材料内で3次元の補強および導電性ネットワークを形成し、材料の重要な特性の信じられない組み合わせをもたらすためです。
ー楠本化成がSWCNT事業を強化するようになった経緯は。
楠本化成は、化学会社として顧客から高い信頼を得ているという自負があります。当社は常に、業界の高い要求を満たせることができる新しいテクノロジーを探しています。そうした中で2年前、世界最大のSWCNTメーカーであるOCSiAlの日本総代理店になりました。現在、日本市場におけるSWCNTを利用した技術開発をリードしています。
ー成長が期待できるSWCNTの応用市場はどの領域ですか。
今年、バッテリー用途向けのSWCNT分散液の生産を開始しました。バッテリーメーカーは、「大衆市場の電気自動車用のリチウムイオンバッテリーのサイクル寿命をいかに延ばすか」という問題に対するソリューションを模索していると認識しています。そこで、TUBALL™シリーズ(水ないしNMP分散液)を市場投入しました。本分散液は、密着性、安全性、レート特性、サイクル性能の向上を可能にするため、より多くの活物質を使用でき、正極のエネルギー密度を最大化できます。最新の高エネルギーNCMおよびその他の正極材料添加量を最大99%にまで高めることが可能になります。シリコン負極では、この材料の重要な問題であるサイクル寿命の短さを解決します。これは電気自動車産業にとってコンシュマー市場に進出する上で非常に重要だと考えます。
ーほかにSWCNTではどのような応用開発が試みられてますか。
SWCNT関連プロジェクトのほとんどは、現在、ナノチューブを使用したさまざまな材料の電気導電性および機械的特性の改善に焦点を当てています。機械的特性に関して言うと、ターゲットとなる物性は、特定のアプリケーションに応じて、強度改善、弾性の維持、耐摩耗性改善などです。 SWCNT使用により、ポリマー、バッテリー、ナノコンポジット、タイヤ、繊維などで、既存の材料の特性よりもはるかに優れた独自の特性が備わり、新しいビジネスチャンスと市場の広がりを期待しています。
進行中のすべてのプロジェクトを世界中のさまざまな地域のSWCNT製品とリンクしていけば、未来の車全体がナノ補強材料で作られるという驚きの結果になるかもしれません。OCSiAl によると、SWCNTをバッテリー、タイヤ、プラスチック製の自動車部品で同時に使用すると、自動車の全体的なエネルギー効率が50〜60%向上するということです。将来の輸送機器は、この秋11月5〜6日に京都で開催される NAUM’19の中心的なトピックのひとつです。
京都で開催されるNAUM’19では、SWCNTと協力する世界中の企業と業界の専門家がエキサイティングな結果を共有します。それに加えて、日本、ヨーロッパ、アメリカの科学者は、アプリケーション開発の進行状況を説明します。これには、バッテリー、自動車産業、ロボット技術およびテキスタイルのセンサー、電子機器用のゴムおよびシリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびコーティングが含まれます。
-NAUM’19へは、どのような人がどのような目的で参加しますか?
化学、自動車、鉄道、航空宇宙・防衛、エレクトロニクス・半導体、発電・エネルギー貯蔵、石油・ガス、金属・鉱業、建設・インフラ、海運、スポーツ、レジャー・消費財産業、バイオテクノロジーの分野に携わる方は、競争力を維持していただくためにNAUM’19に参加して頂きたいと思います。また、単層カーボンナノチューブとナノ材料を研究している方も、この知識共有サミットの雰囲気を体験していただければと思います。
NAUM’19のゲストスピーカーを紹介して下さい。
ゲストスピーカーとして、世界各地から業界をリードする団体の代表が招待されています。現在参加の確定している団体は日本の企業、信州大学(遠藤守信特別特任教授)などの大学のほか、産業技術総合研究所、Lufthansa Technik Intercoat(ルフトハンザ テクニック インターコート)、Shenzhen BAK Power Battery(深圳BAK パワー バッテリー)、Arrival(アライバル)、CRH(シーアールエイチ)、Lehmann & Voss & Co(レーマン&ヴォス)、BYK Additives(ビックケミー)、One D Material( ワンディー マテリアル)、Rice University(ライス大学)、Fraunhofer IPA(フラウンホーファーIPA)、the University of Newcastle(ニューカッスル大学)、 Airbus Defence and Space(エアバスディフェンスアンドスペース) と多彩です。
NAUM’19に関する詳細は、こちらでご覧下さい。
主力製品のTUBALL™(チューボール)は、2016年9月SWCNT製品として、初めて欧州連合(EU)の化学物質登録規制のREACHに登録された。TUBALLの添加により、商品の塗膜硬度、基材との密着性、耐摩耗性、引張強度、弾性率などが向上するため、広く産業応用が期待される。
ロシアアカデミー出身の物理学者で、プラズマテクノロジーを研究してきたミハイル・プレデチェンスキーの技術をもとに創業。社長は共同発起人の一人であるユーリー・カラパチェンスキィ。日本にも拠点を置き販売総代理店は楠本化成(東京・千代田区)が務める。>