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三菱電機も倍増へ、電機業界でAI人材育成合戦

デジタル変革主導
 三菱電機は2020年度までに、人工知能(AI)人材を18年度末比で2倍超の1300人に大幅増員する。社内の教育プログラムを強化しつつ、外部人材の採用にも力を入れる。景気変動の影響を受けやすい単品売りから、IoT(モノのインターネット)やAIを活用したソリューション中心の事業モデルへの変革を目指す。デジタル変革(DX)を主導できる中核人材の確保を急ぐ。

 三菱電機の20年度までのAI人材育成計画は、各事業本部合計で18年度末比3倍以上の1000人、開発本部で同50%増の300人という内訳。一部外部からの経験者採用も含むが、大半は現在働いている社員への教育拡充で目標達成を実現する。

 育成したAI人材は、研究所での独自AI技術「マイサート」の高度化を推進するほか、研究所と各事業本部で連携したソリューション開発などを主導する役割を担う。

 またAI技術を使った、顧客の課題解決ソリューションの創出も加速する。情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)内に4月に立ち上げた専門組織が、各事業本部と協力して顧客の潜在的な課題発掘などに取り組む。強みのデータ分析技術を生かし、課題発掘から、重要業績評価指標(KPI)を設定した課題解決や、価値創出までを一括で手がける。

 電機業界では、日立製作所が21年度に研究開発部門におけるAIトップクラス人材(博士)を18年度比55%増の350人に拡充する。AIを含むデジタル人材全体では同63%増の2000人を目指す。パナソニックも21年までに17年度末比3倍以上の1000人規模のAI人材を育てる計画だ。

 政府はAIなどを扱う先端IT人材が20年に約5万人不足すると試算する。DXをけん引する中核人材の育成・確保をめぐる争いが業界内で激化している。

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三菱電機の情報技術総合研究所
日刊工業新聞2019年8月21日

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