GE会長 「インダストリアル・インターネット」を牽引するための4つの提言
「日本には新時代のリーダーとなる技術的な素養がある」(イメルト会長)
日本GEは7月に、GEのジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)と共にGEフォーラムを開催。日本が“新しい産業の時代”をどう築いていけるかについて話し合い、これからの製造業で成功していくために必要なポイントを提起した。
第4次産業革命とも騒がれるように、いま世界は大きな転換期を迎えており、多くの国家が次のシナリオを描き始めている。GEが考える、これからの未来を形づくる原動力は「インダストリアル・インターネット」「アドバンスト・マニュファクチャリング」「グローバルブレイン」の3つ。この3要素は、製造業のあり方を抜本的に変えるものだ。
なかでも中核的役割を担うのはビッグデータやIoT(モノのインターネット)を活用するためのソフトウェア技術。ドイツの国家プロジェクト『インダストリー4.0』、アメリカの大手企業が手を携えて確立しようとしている『インダストリアル・インターネット』、そして今年に入って中国が掲げた『互聯網+(インターネットプラス)』。世界では国家レベルでの取り組みが進められている。
イメルト会長は「日本には、ドイツやアメリカ、中国が目指すように、インダストリアル・インターネットを牽引するリーダーとなる技術的な素養がある」と語った。「日本には機械もソフトウェア技術もある。制御装置やセンサーの技術も世界屈指。産業の新しい時代に成功を収めるには、日本がもつ知力や優れた人材のパワーを解き放ち、最大限に活用していくことが重要だ」という。
また「ギリシャや中国だけではない。経済成長が鈍化し、先行き不透明な不安定さに瀕しているのは世界全体である」とも語り、今年の世界経済の成長率は3.5%で金融危機以前より4ポイントも低いことを指摘。「今のように低成長かつ不安定な時代に企業がすべきことは、投資を続けることだけだ」と断言した。
GE自身も、テクノロジーこそが創業者エジソンの時代から今日まで変わることのないGEの基盤であることに立ち返り、2018年には営業利益に占めるインダストリアル(製造系)事業の割合を90%以上に高めるべく、投資を続けているという。そして、イメルト会長は講演のなかで製造業の企業が成功していくために必要なこととして次の4つを提起しました。
今はガスタービンやジェットエンジンに数百個のセンサーが取り付けられ、東京から北京までのフライトでテラバイト規模のデータが生み出される時代。
機器から生み出される膨大かつ価値あるデータを活用することが成功への道であり、産業機器を製造しながらデータを意識しないでいれば、21世紀の大きなチャンスを逸することになる。今の時代、製造業は、製造業であると同時にソフトウェアカンパニー、アナリティクスカンパニーでなくてはならない。
高度な新素材の開発・活用や、コンピューターモデリングを使った製品開発、センサーテクノロジーを活用した工場の自動化など、「アドバンスド・マニュファクチュアリング」の活用が製造業の新しい活路になる。
また、製造業におけるレイバーコスト(人件費)の重要性は低下し、サプライチェーンのデジタル化と合わせ、望む場所で望む場所をフレキシブルに製造できることが重要な時代に。日本やアメリカでモノを作るにはコストが高すぎる、といった考え方は過去の話。
技術が進化すれば、顧客やマーケットへのアプローチも様々に変化する。中でも重要なのが、CAPEX(資本的支出)からOPEX(運営コストとしての支出)への移行。
設備投資やモノを買うという行動は減り”利用したこと”に対価を支払うかたちに急速に移行している。こうした変化に対応する、フレキシブルなビジネスモデルが重要に。
多くのことが複雑化していく中、その解決に重要なのはものごとを簡素化することしかない。GEも活用するLEAN(リーン生産方式)はもともと日本で生まれた。そこに、シリコンバレーのベンチャー企業で生まれた「FastWorks」の考え方をプラスしていくことで、早期に失敗を経験して軌道修正を施し、その結果マーケットに迅速に製品を投入することができる。
早期からアイデアを顧客と共有し、フィードバックを受け、賢明な判断を下していく。泰然と構えた大企業では、市場のスピードについていけない時代になった。
自身が過ごしてきた中で、製造業にとって最もエキサイティングな時代が到来した
イメルト会長は、自身が過ごしてきた過去のどんな時代よりも 「製造業にとって最もエキサイティングな時代が到来した。今、世の中で起こっている様々な変化を活用していくことができれば、自社の差別化、生産性を高められるはずだ」と語った。
GEはこの変化の波をとらえ、日本企業とのコラボレーションをいっそう強化していくという。
第4次産業革命とも騒がれるように、いま世界は大きな転換期を迎えており、多くの国家が次のシナリオを描き始めている。GEが考える、これからの未来を形づくる原動力は「インダストリアル・インターネット」「アドバンスト・マニュファクチャリング」「グローバルブレイン」の3つ。この3要素は、製造業のあり方を抜本的に変えるものだ。
なかでも中核的役割を担うのはビッグデータやIoT(モノのインターネット)を活用するためのソフトウェア技術。ドイツの国家プロジェクト『インダストリー4.0』、アメリカの大手企業が手を携えて確立しようとしている『インダストリアル・インターネット』、そして今年に入って中国が掲げた『互聯網+(インターネットプラス)』。世界では国家レベルでの取り組みが進められている。
イメルト会長は「日本には、ドイツやアメリカ、中国が目指すように、インダストリアル・インターネットを牽引するリーダーとなる技術的な素養がある」と語った。「日本には機械もソフトウェア技術もある。制御装置やセンサーの技術も世界屈指。産業の新しい時代に成功を収めるには、日本がもつ知力や優れた人材のパワーを解き放ち、最大限に活用していくことが重要だ」という。
また「ギリシャや中国だけではない。経済成長が鈍化し、先行き不透明な不安定さに瀕しているのは世界全体である」とも語り、今年の世界経済の成長率は3.5%で金融危機以前より4ポイントも低いことを指摘。「今のように低成長かつ不安定な時代に企業がすべきことは、投資を続けることだけだ」と断言した。
GE自身も、テクノロジーこそが創業者エジソンの時代から今日まで変わることのないGEの基盤であることに立ち返り、2018年には営業利益に占めるインダストリアル(製造系)事業の割合を90%以上に高めるべく、投資を続けているという。そして、イメルト会長は講演のなかで製造業の企業が成功していくために必要なこととして次の4つを提起しました。
1.ソフトウェアとデータ解析の重要性
今はガスタービンやジェットエンジンに数百個のセンサーが取り付けられ、東京から北京までのフライトでテラバイト規模のデータが生み出される時代。
機器から生み出される膨大かつ価値あるデータを活用することが成功への道であり、産業機器を製造しながらデータを意識しないでいれば、21世紀の大きなチャンスを逸することになる。今の時代、製造業は、製造業であると同時にソフトウェアカンパニー、アナリティクスカンパニーでなくてはならない。
2.ものづくりの改革
高度な新素材の開発・活用や、コンピューターモデリングを使った製品開発、センサーテクノロジーを活用した工場の自動化など、「アドバンスド・マニュファクチュアリング」の活用が製造業の新しい活路になる。
また、製造業におけるレイバーコスト(人件費)の重要性は低下し、サプライチェーンのデジタル化と合わせ、望む場所で望む場所をフレキシブルに製造できることが重要な時代に。日本やアメリカでモノを作るにはコストが高すぎる、といった考え方は過去の話。
3.ビジネスモデルのイノベーション
技術が進化すれば、顧客やマーケットへのアプローチも様々に変化する。中でも重要なのが、CAPEX(資本的支出)からOPEX(運営コストとしての支出)への移行。
設備投資やモノを買うという行動は減り”利用したこと”に対価を支払うかたちに急速に移行している。こうした変化に対応する、フレキシブルなビジネスモデルが重要に。
4.シンプリフィケーション
多くのことが複雑化していく中、その解決に重要なのはものごとを簡素化することしかない。GEも活用するLEAN(リーン生産方式)はもともと日本で生まれた。そこに、シリコンバレーのベンチャー企業で生まれた「FastWorks」の考え方をプラスしていくことで、早期に失敗を経験して軌道修正を施し、その結果マーケットに迅速に製品を投入することができる。
早期からアイデアを顧客と共有し、フィードバックを受け、賢明な判断を下していく。泰然と構えた大企業では、市場のスピードについていけない時代になった。
自身が過ごしてきた中で、製造業にとって最もエキサイティングな時代が到来した
イメルト会長は、自身が過ごしてきた過去のどんな時代よりも 「製造業にとって最もエキサイティングな時代が到来した。今、世の中で起こっている様々な変化を活用していくことができれば、自社の差別化、生産性を高められるはずだ」と語った。
GEはこの変化の波をとらえ、日本企業とのコラボレーションをいっそう強化していくという。