主役は“地域PPS”―事業運営を委ね三菱電機は支援に徹する

課題解決でスマートコミュニティーのビジネスを継続

 三菱電機はスマートコミュニティーの事業戦略の方向性を定めた。再生可能エネルギーなどの電源が地元にある地域に、エネルギーの”地産地消“によるメリットを還元できるスマートコミュニティーを提案する。事業運営は地域側に委ね、三菱電は支援に徹する。”地域主体型“前面に打ち出して、スマートコミュニティービジネスを前進させる。

 【地域PPS活用】
 三菱電機は新電力(PPS)大手のF―Power(エフパワー、東京都港区、洞洋平社長、03・5544・8671)と連携し、秋田県鹿角市、北海道士幌町でそれぞれスマートコミュニティーを検討した。2地域で描いた事業モデルに共通するのが地域電源と地域PPSの活用だ。

 鹿角市は近隣にある地熱、風力などの再生エネ発電所の電力の活用を検討。市が音頭をとって設立する地域PPS「かづのパワー」が再生エネ発電所から電力を購入し、市の施設に販売する。

 士幌町では「JA士幌町」と共同で事業モデルを検討した。地域にある乳牛の糞尿を燃料とするバイオマス発電所、大規模太陽光発電所(メガソーラー)などの電力を地域PPSが調達し、JA士幌町本部ビル、食品加工工場、乳牛舎に供給する構想だ。

 2地域とも電力販売が地域PPS設立の狙いではない。エネルギーの地産地消を実現し、電力コスト抑制による利益を地域に還元するのが地域PPSの役割だ。

 地域PPSの運営主体は電力を使う地域の需要家を想定し、三菱電機などは運営支援に徹する。例えば三菱電機は電力需給を管理するクラウドシステムを提供する。地域PPSはシステムを構築する必要がなく、運営費を低減できる。エフパワーは地域電源だけでは不足する電力の調達で協力する。

 【2地域ひな型に】
 三菱電機は2地域で検討した事業モデルをひな型とし、再生エネの発電所が地元にありながら活用できていない自治体などにスマートコミュニティーを提案する。運営が地域主体であればスマートコミュニティーの必要性が地元に理解されやすく導入が進みやすい。電力料金の上昇も地域の課題であり、メリットを享受しやすい。

 各地でスマートコミュニティーの技術実証が進んでいる。三菱電機の戦略は最新技術の導入といった華々しさはないが、地域ニーズに合致しているだけにスマートコミュニティーの本格普及がにつながりそうだ。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2015年08月20日 建設・エネルギー・生活面

松木 喬

松木 喬
08月29日
この記事のファシリテーター

太陽光パネルや蓄電池、エネルギーマネジメントシステムなど、スマートコミュニティーに関連した商材はたくさんあります。製品の販売ありきではなく、地域におけるビジネス構築を手伝う立場に徹するのが三菱電のスタンスです。提案するのは「ミニ電力会社」といえる地域PPSの設立。地域PPSは、地域がかかえるエネルギーの課題を解決する道具にすぎません。実際にどう解決するかは地域によって千差万別。手伝う立場に徹すると地域と粘着質な関係が築け、ビジネスが継続できそうです。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。