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「日仏連携でアフリカ市場の開拓を」 駐日フランス大使の見立てる勝算とは?

フランス企業の持つ広大なネットワークの利用を
 2050年には世界人口の4分の1を占めると見込まれ、一大消費市場として注目されるアフリカだが、日本企業にとってアフリカ・ビジネスのチャンネル・ノウハウは少なく、市場参入のハードルは高い。その点、フランスはアフリカと歴史的に関係が深い。日本企業間で同国企業と連携してアフリカ市場を開拓しようとする動きが出ている。フランスと組む利点や今後の展望について、ローラン・ピック駐日フランス大使に聞いた。(取材・大城麻木乃)

―アフリカ・ビジネスでの日仏連携の具体的な利点は何ですか。

「フランス企業は古くからアフリカで経験を積み、広大なアフリカ大陸にネットワークを持つ。日本企業は、こうした強みを活用できる」

「一度フランス企業と接点を持つと、他のフランス企業ともつながりやすい。豊田通商はアフリカに強い我が国の商社CFAOを買収した後、今度はアフリカで港湾・鉄道事業を行う仏ボロレとも協業関係を構築した。CFAOの件があったため、自然にボロレともつながったのだと思う」

―フランスという異文化の国と、さらにアフリカという別の土地で連携するのは難しくありませんか。

「恐らく、最大の困難は最初の一歩を踏み出すことだろう。最初のプロジェクトが順調に滑り出せば、第2、第3は楽に展開できる。企業同士が互いに連携に躊躇(ちゅうちょ)した時には、国が背中を押す番だ。企業の海外展開を支援する公的機関のビジネスフランスと日本貿易振興機構(ジェトロ)、フランス開発庁と国際協力機構(JICA)はそれぞれ協力の覚書を結んでいる。アフリカの中には資金的な支援が必要な国もあり、その場合には同開発庁とJICAがサポートすることになる」

―8月末に横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開かれます。

「フランスからも製造業やインフラ関係の企業が日本を訪れて、サイドイベントに参加する予定だ。アフリカは人口増加が著しく、間違いなく未来の有望市場だ。TICAD7はアフリカをテーマに、フランス企業と日本企業との協業を探る絶好の機会になるだろう」
駐日フランス大使 ローラン・ピック氏
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 フランス企業は特に西アフリカのフランス語圏に強いと言われています。豊田通商のホームページによると、「中・西アフリカ全域にわたるビジネスネットワークを持つCFAO社は、東南部に事業基盤を持つ当社にとって理想的な補完関係を築けた」としています。  フランス企業はアフリカにおいて販売代理店を務めたり、ビジネスに必要な許認可手続きをサポートしてくれたりするそうです。アフリカビジネス未経験の企業にとっては、連携するのも手かもしれません。

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