”背水”のMRJ、迫るエンブラエルの足音

10日に記者会見へ

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エンジンの運転試験をするMRJ(三菱航空機提供)
◆MRJの初飛行に遅れ

 三菱重工業と子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)が開発する国産小型旅客機「MRJ」の初飛行が、従来計画の4―6月から今年後半にずれ込む見通しとなった。両社は初飛行を7月以降にする方向で調整しており、10日にも公表する。関係者によると、米社製エンジンと他の装備品との連携など、地上試験が想定通りに進んでいないのが要因という。初飛行の遅れは通算4回目で、航空機の新規開発の難しさが改めて浮き彫りとなった。

 三菱重工と三菱航空機は10日に記者会見し、MRJの開発状況を説明する。三菱航空機はこれまで、6月中旬にフランスで開かれる世界最大の航空見本市までにはMRJを飛ばす考えを強調しており、5月末にも初飛行させる方針だった。 MRJは2014年10月に完成披露(ロールアウト)を済ませ、15年1月には最重要部品であるエンジンの運転試験も始めた。3月にはエンジンの付け替え作業も実施していたが、ほかの機能部品(操縦や油圧系統など)連携などが進んでいないと見られる。

 MRJ用に「GTF」と呼ばれる新型エンジンを開発する米プラット・アンド・ホイットニーは14年、カナダ・ボンバルディアの開発する新型機向けのGTFエンジンでトラブルを起こし、約3カ月間にわたり飛行試験を中止した経緯がある。ボンバルディアは当時、エンジンの潤滑油を含むシステムに不具合が起こり、それに対処したと発表した。一方、同じくGTFエンジンを採用する欧エアバスの単通路機「A320ネオ」は、15年中に初号機が航空会社に引き渡される予定。

 MRJはこれまで世界の6社からキャンセル可能な仮発注を含め407機の受注がある。三菱航空機は現時点では17年4―6月とする初号機の納入日程を変更しない方針だ。

 同社の岸信夫副社長(三菱重工MRJ事業部長)は以前、「新型機の開発は日々格闘。初飛行は(開発計画の)全体的なバランスを見て決める」と語り、顧客への納入日程を最優先する考えを示していた。初号機を受け取る全日本空輸(ANA)は「納期通りの初号機納入を求めていく」と話す。

 航空機業界では新型旅客機の開発が遅れる傾向が強まっている。業界大手のボーイングやエアバスのほか、MRJの競合メーカーであるカナダ・ボンバルディアや中国商用飛機なども、新型機の開発では納入遅延を起こしている。新規参入を狙う三菱航空機も、初飛行を目前に控え、試練を迎えている。

◆ライバルのエンブラエルが迫る
 17年4―6月の初納入を目指すMRJ。しかし、最大のライバルであるブラジルのエンブラエルも、新型機「EジェットE2」(通称E2)を18年前半にも市場投入する計画だ。MRJとは半年~1年程度の差となる。
 E2は既存の「Eジェット」のエンジンを最新型に置き換えるもので、現在までに最大550機の受注(仮注文含む)を得ている。14年2月、シンガポールの航空ショーで民間機部門のパウロ・シルバCEO(最高経営責任者)は日刊工業新聞の取材に対して、MRJとの競争について「我々にはカスタマーサポートなどの点で強いインフラがある」と自信を示した。

日刊工業新聞2015年04月09日 機械・ロボット・航空機面記事を加筆

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納期への影響があるかないかが最大のポイントではないでしょうか。三菱航空機は「報道は当社が発表したものではない」としています、念のため。

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