就職戦線異状あり

中小企業の人材確保、国が後押し

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グランフロント大阪(大阪市北区)で開かれた合同説明会
 中小企業庁は26日、地方の中小企業の人材確保を支援するため、9、10月に合同企業説明会などを全国47都道府県で集中開催すると発表した。予算総額は70億円。各地域の中核都市で若者のUターン、Iターン就職を狙ったイベントも開く。

 昨年までは小規模のセミナーを開いてきたが中小企業の人材確保が困難を極める中、規模と開催頻度を大幅に増やすことを決めた。同庁の公募に選ばれた事業者がイベントを主催する。合同企業説明会のほか、学生対象の企業訪問ツアーなど、各都道府県ごとに独自の企画を複数回開く。

大手企業の採用日程 後ろ倒しの影響も


 2016年春入社の新卒採用は昨年に比べ4カ月遅いスタート。例年にない「短期決戦」で、新卒採用に割ける人員や資金が少ない中小・ベンチャー企業にとっては試練でもある。

 リクルートキャリアの就職みらい研究所の調べによると、7月1日時点で、企業から内定を取得している学生は49・6%とほぼ半数に達している。

 堅調な企業業績を背景とした人材不足感から、企業の新卒採用意欲は高く、有望な新卒者の争奪戦になっている。大手・中堅の採用が進むとともに、虎の子の内定者を引き留められるかがカギを握る。

 中小企業では、中小ならではの仕事のやりがい、おもしろさを学生に伝えきれるかどうかがポイント。社員一人ひとりの業務内容の幅広さと、それに伴うやりがいの大きさ、地域密着度の高さなど、アピールすべきポイントは多い。また学生の進路選択に強い影響のある保護者向けの職場見学会などを開く企業もある。

 また大企業のように制度化が進んでいなくても、社員の出産や育児、介護などに配慮し柔軟な働き方を後押ししている企業も多い。経営者自らがこうしたメリットを語り尽くせるかが採用活動の成果につながりそうだ。
 
 日常から地元大学との産学連携やインターンシップの実施など、企業の素顔を伝えていくことが今後の採用にも結びつく。

 東商は9月に1、2年生対象の「会社ツアー」

 東京商工会議所は9月に大学1、2年生を対象に中小企業の「会社ツアー」や「仕事観察」などができる「東商リレーションプログラム」を開始する予定だ。16年4月、17年4月入社の採用には間に合わないが、早くから中小企業に足を運んでもらい、従業員、経営者と触れ合うことで中小企業の良さを伝えようという狙いだ。

 当初、5大学の1年生約80人を会員企業9社で受け入れる。学生の休暇期間を中心に年2回実施する方針で順次、参加企業、大学を拡充する。会社ツアーは1―3時間かけて、会社内を巡り歩いたり、課題解決型のワークショップを行ったりする。仕事観察は4―8時間をかけ、1人の職業人について回ることで仕事をリアルに理解させる。

 また、1都8県の101商工会議所と連携し、16年春に採用を予定している中小企業を首都圏の大学生に紹介する「採用情報メール配信サービス」を7月に始めた。大学生1万人、首都圏100校以上の大学キャリアセンターなどに情報を提供している。

日刊工業新聞8月27日付2面記事に加筆

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

今年は大手企業の採用日程が後ろ倒しになった影響が中小企業に広がっている。国による今回の合同企業説明会は来年2月までに1千回以上開催という異例のケースだ。

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