工場専用線に路面電車を走らせよう

栃木県小山市のアイデア作戦

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富山のLRT
「東光高岳専用線」という貨物線をめぐって、栃木県小山市で議論が巻き起こっている。中堅重電機器メーカー、東光高岳の小山事業所とJR小山駅の約4・8キロメートルを結ぶ同線に、次世代型路面電車(LRT)を導入する検討が本格化しつつあるからだ。

 小山市役所は、中心市街地の活性化や高齢者対策、二酸化炭素(CO2)削減を狙う。2014年8月に開いた地元協議会の初会合では「低床で人に優しい交通なら歓迎」「踏切の交通渋滞が心配だし、タクシー会社への影響がある」などの意見が出た。

 同線はトラックでは運べない発・変電所向けの大型変圧器の輸送用。だが実際に使うのは年数回にとどまる。東光高岳は「(LRT導入の)コストや設備維持の負担は厳しいが、市民の専用線利用には積極的に協力したい」という。

 沿線には富士通や東京鋼鉄などの工場ばかりでなく、住宅や大型商業施設が広がる。交通インフラに乏しい地方都市では、通勤・通学や買い物に車が欠かせないのが現状だ

 産業用インフラを“市民の足”として活用できれば、企業の存在価値も高まる。しかし大都市ほどの利用者が見込めない中で、新規投資には賛否両論がある。費用を明確にして検討するには、もう少し時間がかかりそうだ。重電機器用のレールを軽快に走るLRT構想だけに、事の軽重をよく見極めて決めてもらいたい。

日刊工業新聞 2014年10月15日1面に加筆

COMMENT

加藤正史
論説委員会
論説委員

東京電力系の東光高丘は、大型変圧器を搭載する「大物車(シキ)」の顧客。まれに運行する専用線の変圧器輸送風景は、鉄道ファンの写真撮影の定番だ。小山市のような地方都市にとって、LRT用の線路を新たに敷設するのでは採算は難しかろう。専用線を使うのはナイス・アイデアだか、それでも利益が出るには相当の期間が必要だという。実現すれば路面電車が復活する珍しい事例となる。期待したい。

キーワード
東光高岳 東京鋼鉄 同線

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