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広く深い情報収集を可能にする業界別紙面「展示会のよう」

わたしの「日刊工業新聞」活用法、アイ・メデックスの市田社長
 カラダの声を聞く―。アイ・メデックスは国内唯一の生体電極専業メーカーだ。1992年に創業し、この四半世紀、医療現場で地歩を築いてきた。2代目社長の市田誠さんは外資系IT関連企業で活躍していた。この知見も生かして事業展開している。日刊工業新聞をどう活用しているかを聞いた。

 ―生体電極は何より高精度であることが求められますね。
 「医師の多くが心電図や心拍の波形に発生する誘導ノイズに悩まされていた。独自の全面シールド構造を採用し、これを解消している。導電性ゲルも自社開発した。肌面の追従性が高いため、生体信号をしっかりと検出できる」

 ―被験者の負担軽減も課題です。
 「この材料は空気の透過性が良いので、長期間貼りっぱなしでも皮膚がかぶれにくい。防水性もあるので、汗をかいたり、入浴したりしても大丈夫だ。これを使って厚さが従来品に比べて3分の1以下の60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の生体電極を製品化し、長期間の連続モニタリングを可能にした」
 
 ―ビッグデータ(大量データ)取得などにより、診断の高度化を図れますね。他分野でも活用できそうです。
 「コネクターも防水タイプなので、例えば水泳選手の筋肉の動きを測定し、トレーニングに活用できる。職人の手作業などを測定し、技能伝承に役立てるといったことにも使える。農業分野にも注目している。植物の葉に流れる微弱な電気をモニタリングし、育成環境の最適化に関する研究に取り組んでいる」

独自ブランドの生体電極「マイローデ」を展開

 ―そうした研究などで、日刊工業新聞は参考になりますか。
 「もちろん参考にしている。業界別に紙面構成されており、さまざまな分野の展示会のように感じている。しかも広く浅くではなく、広く深い情報を得られる。毎朝、どの新聞よりも真っ先に手に取る」

 ―事業の役には立っていますか。
 「新製品や欧州進出などの記事のおかげで認知度が上がり、受注も伸びた。日刊工業新聞社のビジネスサイト『ニュースイッチ』に転載されて情報が拡散されるのもうれしい」

 ―社内ではどう活用されていますか。
 「従業員も参加し、在宅やフレックスなどの三つの勤務形態を決めた際、皆、新聞からヒントを得ていたようだ。約90%が女性で、子育てしている人も多い。それだけに働き方改革を重視している。この一環としてRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を導入し、梱包箱のラベルを人工知能(AI)でチェックするラインを整える予定だ。従業員とのコミュニケーションを大切にし、より働きやすい職場にしたい」

 ―本日はありがとうございました。

アイ・メデックスの市田誠社長

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【会社概要】
名 称  株式会社アイ・メデックス
代表者  市田 誠
所在地  千葉県千葉市花見川区宇那谷町1504-6
URL   アイ・メデックス
事業内容  銀/塩化銀電極の設計・開発、医療機器の製造・販売、導電性ゲルの製造・販売、スクリーン印刷・ラベル印刷など
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
「自社の製品を通して、使う人がより幸せになってくれれば嬉しい」 幸せという言葉を強調されていた市田社長。自社製品に込めたその熱意は社員へ、そして担当されている地元大学での講義などを通じて、様々な人に発信されています。それは地元の人たちに幸せを届け、その地域に根付く環境づくりにもつながっているのではないでしょうか。見えないものが価値とされつつある現代。市田社長のその姿勢に学ぶところが多いと感じました。 (日刊工業新聞社販売局企画調査部・神田里佳子)

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