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スズキの“まじめな方”の鈴木社長が会見デビュー

就任から約2カ月。「まだ手応えを感じるほど仕事していない」(俊宏社長)
スズキの“まじめな方”の鈴木社長が会見デビュー

都内で会見した鈴木社長

 スズキは26日、鈴木俊宏社長が東京都内で記者会見し、「早期に小型車で(現在比2万台増の)国内販売10万台を達成したい」と意欲を示した。一方、中国の経済動向を見通しながら「現地で生産調整が必要」と懸念を示した。鈴木社長は6月末の社長就任後、初めて公式の場に登場した。
 
 同日発表した新型「ソリオ」について、鈴木社長は「スズキの小型車は『ソリオ』と『スイフト』で約9割。国内販売10万台を目指す中期経営計画の第1弾として自信作に仕上がった」と語った。

 エンジンとモーターを動力源として併用する「ハイブリッド」技術はかつて、独フォルクスワーゲン(VW)との協業に期待していた。VWとの提携解消を巡る係争でかなわなくなったが、「(独自で)やればできる」(鈴木社長)と評価した。

 一方、中国株安の影響について、「現地の生産能力が販売実績の2倍ほどある。生産調整しなくてはならない」(同)と述べ、中国経済の減速を警戒した。

 鈴木社長は、社長就任から約2カ月。「まだ手応えを感じるほど仕事していない」(同)と、まじめな人柄がにじみ出た受け答えだった。

新型車初のHVを発売ー本格的なストロングハイブリッドシステムも準備も


 スズキは26日、小型車「ソリオ」を全面刷新して発売したと発表した。モーターでアシストする「マイルドハイブリッド」システムを軽自動車以外の小型車として初めて搭載。100キログラムの軽量化を実現して燃費性能を1割改善した。鈴木俊宏社長は「本格的なストロングハイブリッドシステムの準備も進めている」ことも、正式に表明した。

 同日都内で開いた発表会で鈴木社長は「小型ワゴンにふさわしいアイデアと技術で進化させた」と話した。ハイブリッドシステムと新型プラットフォームの採用や高張力鋼板の多用で、前モデル比100キログラム軽量化し、同2・4キロメートル増のガソリン1リットル当たり27・8キロメートル(JC08モード)の燃費を実現した。小型なボディーサイズを維持しながら室内空間を拡大した。

 自動ブレーキなど安全技術も盛り込んだ。月販目標は3500台で、消費税込みの価格は145万4760―196万7760円。モーターでアシストするシステムはすでに「S―エネチャージ」として軽で展開済み。基本システムは同一だが「マイルドハイブリッド」という名称で展開する。「小型車ではハイブリッドの呼称の方が訴求しやすい」(笠井公人常務役員)としている。
 
 国内販売の9割を軽自動車で占めるスズキにとって、小型車の拡販は大きな課題だ。鈴木社長は「ソリオは小型車戦略を語る上で重要な位置づけ」と強調した。新プラットフォームはソリオが属する「Aセグメント」で国内外で採用する。今後5年間でAセグメントで6モデルを投入する予定。新型ソリオの成否が今後の小型車事業を左右しそうだ。
2015年08月27日 3&自動車面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「修のいない会見なんて会見じゃないい」という声が聞こえてきそう。まぁ、修氏の会見の面白さがイレギュラーであって、経営トップの会見はさして面白くないことがほとんど。俊宏氏の光景も時期慣れるだろう。この人柄が経営にどう影響していくか注目。

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