<矢島里佳の新聞clip8.27号>法人税の減税で経営者の卓見が問われる
本来税金を支払うはずであったお金を何に使うのか
1週間の日刊工業新聞の記事の中から3本、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの3本です。
●おもてなし商材発掘に知恵絞れ(インバウンド消費4兆円=8月20日付)
●沖縄の特区活用が急増(法人税で大幅な軽減措置=8月21日付)
●ユニクロ社員「週休3日間」(地域社員に選択制=8月21日付)>
近年話題の経済特区。法人税の大幅な軽減処置がなされるため、会社にお金が残すことができます。その分のお金を何に使うか、経営者としての卓見が問われます。経済特区は、税金として大きな枠組で使うよりも、特化して、その産業への再投資をした方がよりインパクトを生み出せるという判断がされたということではないでしょうか。
本来税金を支払うはずであったお金を活用して、従業員の教育的機会の拡充や、業界としての発展への投資、地域への貢献などに役立てるなど、より良い循環が生まれるといいですね。
沖縄県の経済特区を活用する事例が増えてきた。2002年度に始まった同特区の認定企業は13年度までに8社にすぎなかったが、認定要件を緩和した14年度から現在までに認定は3社、認定見込みの4社を加えると7社を数える。この1年余りで過去の実績にほぼ匹敵する。現地雇用の従業員数の条件などを緩和したことで、法人税の大幅な軽減措置を受けられる同特区の魅力が見直されている。
沖縄県の本土復帰30周年に当たる02年に沖縄振興特別措置法が施行。この間、情報通信や物流、金融などの産業集積が進み、同県独自の経済特区がこの流れを加速させると期待されてきた。
同特区の最大の利点は法人税の優遇措置。特区内に「本店」「主たる事業所」を構える企業の法人所得が40%控除(期間は10年)されるため、法人実効税率は国・地方の標準税率約32%(15年度)に対し、20%程度で済む。ただ現地に設立する事業所に課された雇用者数や業務エリアの条件・制限などから、活用する企業は限られていた。
このため14年4月に特区制度を改正し、同年7月から運用を始めた。認定要件を大幅に緩和したほか、特区の内容も拡充した。名護市を対象とする「経済金融活性化特区」では所得控除制度の適用条件を緩和し、従業員数を10人以上から5人以上に減員、特区外業務の制限も原則なくした。金融関連業に限定していた対象業種も製造業や情報通信、観光、農業などに拡充した。
那覇地区などに限定していた「国際物流特区」も従業員20人以上を15人以上に緩和したほか、対象地域も那覇市や浦添市、糸満市などに拡充した。
こうした従業員数の要件緩和などを受け、S.O.W.ホールディングス(東京都千代田区)は、金融業のS.O.W.フィナンシャルイノベーション(名護市)と、ソフトウエア業のMUNI OKINAWA(同)をそれぞれ設立、経済金融活性化特区で認可を取得した。
インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)事業のオキット(名護市)も、同様の理由でドヴァ(横浜市西区)が設立し、情報通信産業特区で認可を取得した。
これら認定3社のほか、ハラル(イスラム法で合法なもの)に対応した日本食の国内・アジアへの出荷を予定する企業など、4社の認定が見込まれる。
政府は沖縄県の経済発展だけでなく、成長するアジアの玄関口と位置づけ、経済再生のけん引役として期待する。同県の経済特区の活用を促すことで産業集積を高め、観光から多様な業種へと企業誘致のすそ野を広げる。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの3本です。
●沖縄の特区活用が急増(法人税で大幅な軽減措置=8月21日付)
●ユニクロ社員「週休3日間」(地域社員に選択制=8月21日付)>
近年話題の経済特区。法人税の大幅な軽減処置がなされるため、会社にお金が残すことができます。その分のお金を何に使うか、経営者としての卓見が問われます。経済特区は、税金として大きな枠組で使うよりも、特化して、その産業への再投資をした方がよりインパクトを生み出せるという判断がされたということではないでしょうか。
本来税金を支払うはずであったお金を活用して、従業員の教育的機会の拡充や、業界としての発展への投資、地域への貢献などに役立てるなど、より良い循環が生まれるといいですね。
認定要件を緩和後に7社が活用へ
沖縄県の経済特区を活用する事例が増えてきた。2002年度に始まった同特区の認定企業は13年度までに8社にすぎなかったが、認定要件を緩和した14年度から現在までに認定は3社、認定見込みの4社を加えると7社を数える。この1年余りで過去の実績にほぼ匹敵する。現地雇用の従業員数の条件などを緩和したことで、法人税の大幅な軽減措置を受けられる同特区の魅力が見直されている。
沖縄県の本土復帰30周年に当たる02年に沖縄振興特別措置法が施行。この間、情報通信や物流、金融などの産業集積が進み、同県独自の経済特区がこの流れを加速させると期待されてきた。
同特区の最大の利点は法人税の優遇措置。特区内に「本店」「主たる事業所」を構える企業の法人所得が40%控除(期間は10年)されるため、法人実効税率は国・地方の標準税率約32%(15年度)に対し、20%程度で済む。ただ現地に設立する事業所に課された雇用者数や業務エリアの条件・制限などから、活用する企業は限られていた。
このため14年4月に特区制度を改正し、同年7月から運用を始めた。認定要件を大幅に緩和したほか、特区の内容も拡充した。名護市を対象とする「経済金融活性化特区」では所得控除制度の適用条件を緩和し、従業員数を10人以上から5人以上に減員、特区外業務の制限も原則なくした。金融関連業に限定していた対象業種も製造業や情報通信、観光、農業などに拡充した。
那覇地区などに限定していた「国際物流特区」も従業員20人以上を15人以上に緩和したほか、対象地域も那覇市や浦添市、糸満市などに拡充した。
こうした従業員数の要件緩和などを受け、S.O.W.ホールディングス(東京都千代田区)は、金融業のS.O.W.フィナンシャルイノベーション(名護市)と、ソフトウエア業のMUNI OKINAWA(同)をそれぞれ設立、経済金融活性化特区で認可を取得した。
インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)事業のオキット(名護市)も、同様の理由でドヴァ(横浜市西区)が設立し、情報通信産業特区で認可を取得した。
これら認定3社のほか、ハラル(イスラム法で合法なもの)に対応した日本食の国内・アジアへの出荷を予定する企業など、4社の認定が見込まれる。
政府は沖縄県の経済発展だけでなく、成長するアジアの玄関口と位置づけ、経済再生のけん引役として期待する。同県の経済特区の活用を促すことで産業集積を高め、観光から多様な業種へと企業誘致のすそ野を広げる。