日本生命、買収する三井生命は「禁断の果実」?

国内首位奪還も、大なたふるえるか

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 「ニッセイが三井を買う」- 2015年3月期に売上高に相当する保険料等収入で日本生命保険が第一生命保険に抜かれるのが確実になった後、業界関係者の間に噂がかけめぐった。

 26日、日本生命が国内生保8位の三井生命保険を買収することが明らかになった。買収金額は3000億-4000億円。買収を完了すれば、保険料等収入は単純合算(15年3月期ベース)で5兆8822億円。5兆4327億円の第一生命を上回り、業界首位の座を奪還する。

 日本生命はナンバーワンへのこだわりを隠さない。第一生命に抜かれることが決定的になった決算会見の席上で担当役員が「看過できない」と言い放ったほどだ。
 
 首位逆転の選択肢には海外企業の買収も当然あがっていたが、国をまたぐガバナンスの難しさや経営陣のハンドリングにはリスクがつきまとう。他生保が雪崩を打つように海外買収に動いても「勝手を知る国内企業の買収に先に動くのでは」との観測がくすぶりつづけていた。
 
 買われる側の三井生命も「名門」ながらも保険料等収入は過去10年で2分の1に縮小。人口減少社会に突入して、自社での生き残りの難しさを痛感させられる現実が横たわる。日本生命は出資先の旧ニッセイ同和損害保険と三井住友海上火災保険の経営統合の経験もあり、組み合わせ自体に違和感はない。

 ただ、今回の買収は「首位奪還」以外の効果がどこまであるかは未知数だ。国内の中堅生保社員は「噂は知っていたが、本当に買うとは思わなかった」と驚きを隠さない。
 
 両社はいずれも国内の営業職員経由が主力の販路。人口減少下、他生保が販路の多様化で顧客を取り込もうとする中、同一市場で同一チャネルを拡充するメリットよりも、固定費増のデメリットがちらつく。
 
 生保関係者の間では「大手同士で業態が近ければ、リストラ効果は大きい。だが、果たしてニッセイにできるのか。三井は今ですら過剰感はある」との指摘も多い。
 
 三井生命は2012年にメーンバンクの三井住友銀行出身の津末博澄会長が抜本的な改革を主導。外資畑を長く歩んだ片岡一則氏(現オリックス生命保険社長)を営業担当の役員に招聘した。本丸の営業に外部人材を登用する異例の布陣で効率化に臨んだが、社内の逆風も強く、改革は進んだとは言いがたい。片岡氏は津末会長の退任も影響したのか、1年半あまりでオリックス生命に転じた。
 
 実際、三井生命は住友生命との合併が過去何度も噂に上ったが、実現することはなかった。住友生命関係者は「うちにメリットがどこまであるかは不透明」と言い切ってきた。

 日本生命はその三井生命を抱え込むことになる。首位奪還を果たしても、人員の再配置やスリム化を含めて構造改革に大なたを振るうことを迫られる。メーンバンクもてこずった改革を完遂できるのか。日本生命にとって三井生命は「禁断の果実」になる可能性もある。

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COMMENT

栗下直也
デジタルメディア局
編集委員

国内生保に再編時代到来というよりは、日本生命のナンバーワン奪取への並々ならぬ熱意を感じます。

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