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秋は新幹線で北陸へ!「美観」「美食」「美技」「美湯」「美心」の五つの美テーマ

10月から北陸デスティネーションキャンペーンを開催
 JRグループ6社は25日、10―12月までの3カ月間、富山県、石川県、福井県の北陸三県で観光PR事業「北陸デスティネーションキャンペーン」を実施すると発表した。3月に北陸新幹線が開業し、注目が高まる北陸を舞台に、各地で特別企画やイベントなどを行う。キャンペーンに合わせた観光列車として、10月3日から「花嫁のれん=写真」を七尾線で運行するほか、10月10日から、城端・氷見線で「ベル・モンターニュ・エ・メール」を運行する。「美観」「美食」「美技」「美湯」「美心」の五つの美をテーマに、北陸の観光資源をPRする。

「和と美」のおもてなし提供


 デスティネーションキャンペーンの目玉は、開催に合わせて運行が始まる観光列車だ。

 10月3日から金沢-和倉温泉間を運行する「花嫁のれん」は、石川県の伝統工芸である輪島塗の図柄や金沢金箔、友禅のオールドコレクションをあしらった装飾などを施し、外装と内装で北陸の「和と美」を表現した。1時間程の乗車時間には、七尾線の景色を楽しみながら、高級旅館「加賀屋」の総料理長監修によるお弁当やスイーツセットを味わえる。石川ならではの食やアテンダントのサービスで「和と美」のおもてなしを提供する。

 列車は2両編成で、1号車は8つの半個室と物販スペースを設置し、旅を楽しめるくつろぎの空間。通路の絨毯は、日本庭園の飛び石をイメージし、各部屋には、石川県繊維協会の協力により選定した。友禅のオールドコレクションをあしらった空間となっている。
 2号車は催し物などで、1号車と対照的ににぎやかに旅を楽しめる空間となっており、大型モニターを設け、車内でパフォーマンスを実施する計画。通路は流水のイメージで、座席は紅色の生地と背面の木の格子が特徴的なオリジナル回転いすを置いた。内装は輪島塗のオーソドックスな図柄を表現した。 

「花嫁のれん」とは、婚礼の際、嫁ぐ娘の幸せを願ってのれんを持たせる旧加賀藩の風習のこと。能登の伝統や魅力を表現した列車となっている。

 土日や祝日など休日を中心に、1日2往復運行する。

車窓から絵画のような風景を


 10月10日から城端線と氷見線で運行する「ベル・モンターニュ・エ・メール」は、「走るギャラリー」がコンセプト。車窓を額縁に見立て、外の風景を絵画のように楽しめる。

 列車名はフランス語で「美しい山と海」という意味。訪日外国人なども意識して、この地域の魅力を表現した。

 主に土曜日は氷見線の新高岡-氷見間、日曜日は城端線の高岡-城端間を、それぞれ1日2往復運行する。

 北陸新幹線の開業で、北陸への旅客流動は大きく伸びている。8月7-17日のお盆期間の北陸新幹線の利用者は、JR東日本の運行区間となる高崎―軽井沢間で、前年比86%増の約78万3000人となった。JR西日本では、延伸前の在来線特急と比べ、約2・5倍の37万9000人となっている。

 JRグループでは、10-12月の3カ月間、各地でイベントや特別企画のツアーなどを実施し、北陸への誘客を強化する。
日刊工業新聞 2015年08月26日 建設・エネルギー・生活面 記事を加筆修正
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
3月の北陸新幹線開業で注目が高まっている北陸三県。JRは10月からのデスティネーションキャンペーンで、グループをあげて北陸の魅力をアピールし、誘客をたたみかけます。ただ、JRは新幹線の利用者数を伸ばしている一方で、航空は搭乗率が大幅に下がっていて、減便なども検討しているとのこと。減便すると、飛行機の利便性が下がり、首都圏と北陸を結ぶ交通インフラが弱くなってしまいます。新幹線と飛行機の共存が、今後の課題かもしれません。

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