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ワールドカップをレガシーではなく次の100年への基点に!

東大-マッキンゼー出身の戦略室長が語る日本ラグビーの未来
 9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会まで、100日となった。日本ラグビーフットボール協会は早くも、11月2日のW杯閉幕後を見据え、人材獲得に乗り出した。W杯後の日本ラグビー界は、プロラグビーリーグ・スーパーラグビーに参戦中の日本チーム「サンウルブズ」が、2020年をもって除外されることが決まるなど、不安材料もある。日本ラグビー協会がビジネスプロフェッショナルを求める狙いを探った。

 

 日本ラグビー協会内に今年設置された「BEYOND2019 戦略室」。福島弦同戦略室長は、2010年3月に東京大学を卒業後、マッキンゼー&カンパニーに勤務。15年4月に日本初のプロラグビーチームであるサンウルブズの創業メンバーとして参画し、現在はラグビーワールドカップ2019組織委員会の戦略統括・特命プロジェクト担当などと現職を兼務している。

 ラグビーW杯はオリンピック・パラリンピック、サッカーW杯と並ぶ世界3大スポーツイベントの一つと言われ、今回がアジアでの初開催となる。前回の15年英国大会予選リーグでは、過去同大会で一勝しかしていなかった日本が、W杯優勝2回の南アフリカを撃破し注目を集めた。

 福島氏は「2009-19年までの10年間は、日本代表が強くなっていく軌跡と捉えることができる」と話す。W杯日本大会終了後は、「向こう10年を考えるとスタートラインでしかない」(福島氏)と冷静に分析する。そのうえで「19年W杯をレガシー(遺産)ではなく、基点にすることが必要」(同)だと説く。
 
 日本ラグビー協会は現在、W杯後をにらみ日本ラグビーの事業化や国際ブランド化を進める戦略室マネージャーを募集している。受付期間は6月26日まで、ビズリーチが運営する転職サイトを通じて募集する。業務内容は戦略策定やビジネスの分析、海外プロラグビーリーグ・協会との交渉、日本代表のブランド再構築など。

 業務委託で報酬は年収表記で900~1100万円。7月の採用と早ければ8月の就業開始を予定する。求める人材は「整った環境ではなく、ゼロベースから問題の解決策を見つけられる、ビジネスプロフェッショナル」(福島氏)。スポーツビジネス、ラグビー経験は不問。ただし、英語力が必須だという。

 アジア初のW杯開催国として、ジャパンラグビーのグローバル化を引っ張るための国際戦略の策定と各国協会との協議が必要になる。次の100年を視野に入れた人材獲得は待ったなしだ。
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日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日本大会終了後のジャパンラグビーの行方を心配する声は、多く聞かれます。ビジネス的な視点はもとより、ラグビー界の外からもアイデアやノウハウを積極的に取り入れることが必要でしょう。東京五輪・パラリンピックについても同様だと考えます。

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