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2030年に“1兆円企業”に、三洋化成と日本触媒の統合効果

全樹脂型電池がけん引
2030年に“1兆円企業”に、三洋化成と日本触媒の統合効果

APBと三洋化成が開発した全樹脂型LiBのセル(右)と、同LiBパック(左)

 三洋化成工業と日本触媒は2020年の経営統合によるシナジー創出と、既存電池と構造が異なる新型電池事業の拡大で、2030年までに売上高1兆円を目指す。両社の2019年3月期売上高の単純合算は5113億円。増収分の多くは、三洋化成が年内に生産技術を作り込み21年から量産する全樹脂型リチウムイオン電池を想定し、経営資源を集中投下する。“1兆円企業”として業界で存在感を示す。

 三洋化成の安藤孝夫社長は6日、日刊工業新聞の取材に応じ、新型電池は「安全性やフレキシブル性、生産コスト面などで全固体電池より有利だ。両社の経営統合で事業拡大を加速できる」とした。

 全樹脂型電池は電極を含めてほぼ樹脂。穴を開けても発火せずに折り曲げも可能。日産自動車出身の車載電池開発の第一人者と、三洋化成が7年前から共同研究を開始。JFEケミカル(東京都台東区)のほか多数の部材メーカーが参画する。

 まずは大型蓄電池や建材、産業機械、飛行ロボット(ドローン)向けなどで売上高100億円規模、24年頃から自動車向けも展開し3000億―4000億円規模を狙う。
日刊工業新聞2019年6月7日(化学・金属・繊維)

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