夏のゴルフにご用心!“もしも”のために

専門家がアドバイス。心臓発作や落雷への適切な対応

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 「暑いのに好きだね」と、声が掛かるのはゴルファーと相場が決まっています。蒸し暑い季節、ラウンド後のお風呂とビールは、この時のために人生があると思わせるほどです。しかし、この喜びは危険と隣り合わせです。

 ゴルフは軽い運動と思われがちですが、日本で約5年間のスポーツ活動中に起きた突然死645人のうち、ゴルフ中の死者は87人にのぼりました。ランニングの突然死危険率を1・0としたとき、40―50代でゴルフは0・6ですが、60歳以上になると6・5まで高まり、登山の6・1を上回る“危険なスポーツ”という報告があります。

 原因のほとんどが心血管系、特に急性心筋梗塞です。前回の掲載でお伝えしたヒートストレスの状態で利尿作用のあるビールを飲むと、脱水がさらに進みます。息を詰めてドライバーをフルスイングしたり、外したくないパットで緊張したりすることで血圧を上げるホルモンのカテコラミンが多量に分泌され、脈拍・血圧が高まります。肥満、喫煙、高血圧などのリスクがある人がそんな状態になれば、発症の可能性も高まります。

 心臓病の人のバーディーパットは危険行為

 実は心筋梗塞には発症しやすい時間帯があり、朝7時ころといわれています。血圧は24時間変動していて、特に早朝急峻(きゅうしゅん)に上昇することをモーニングサージと呼び、短時間の過度の昇圧が心筋梗塞発症のリスクになります。朝プレー始めの数ホールは、寝不足、準備運動不足からくる心臓への負荷などと相まって生理的に発症の危険が高まりやすく、心臓発作の最高のお膳立てが整ってしまうのです。

 無類のゴルフ好きで知られたアイゼンハワー第34代米国大統領は休暇中に心筋梗塞になりました。血液をサラサラにする薬ワーファリンを初めて臨床応用した著名な心臓内科医ホワイト博士の治療で健康を取り戻し、2期目も再選しました。主治医はコースに出るのは許可しましたが、“パット禁止”を言い渡したそうです。言い換えれば、心臓病の人のバーディーパットは危険行為ということになりましょうか。

 安心してゴルフを楽しむには、健康診断を受け高血圧、糖尿病や高脂血症などの基礎疾患をコントロールしておき、しっかりと準備運動を行い、脱水を予防し、無理せずプレーすることです。スコアは二の次にして、心臓の事を考えるとカップインしなくても近くまで転がせばOKくらいの大統領級ゴルフが良いのかもしれません。ラウンド後にビールを味わったら、水を飲むようにしましょう。この夏はゴルフに限らず、健康障害を起こさずにスポーツを楽しみたいものです。

2015年07月10日 /17日ウイークエンドの記事を一部修正

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